長期間借金を放置していると、突然、裁判所から訴状が届く場合があります。
これは、債権者が消滅時効を中断させるためです。
しかし、中にはすでに5年の消滅時効期間が経過しているにもかかわらず、裁判上の請求をしてくることがあります。
これは、債務者が消滅時効の知識がないことを期待して、借金を承認することを期待しているからです。
たとえ、時効期間が経過していても、借金を承認してしまうと、時効が中断してしまいます。
よって、すでに時効期間が経過しているのであれば、裁判所から訴状が届いても消滅時効を援用しなければいけません。
なお、裁判所から届くのは訴状とは限りません。
時効を中断させる効果がある裁判上の請求には、通常の訴訟の他に支払督促というものがあります。
支払督促の場合、裁判所から支払督促申立書が届きますが、債務者は2週間以内に異議を申し立てることができます。
もし、消滅時効の援用をするのであれば、この異議申立書に「消滅時効を援用する」旨を記載して、裁判所に提出します。
異議が出されると支払督促は通常訴訟に切り替わるので、特に時効の中断事由がない限りは、消滅時効の援用が認められるので、最終的には債権者の請求は棄却されます。
2週間以内に債務者が裁判所に異議を申し立てないと、債権者は裁判所に仮執行宣言をすることになります。
支払督促に仮執行宣言が付されると、債権者は債務者に対して強制執行することができますが、債務者は仮執行宣言付支払督促が届いてから2週間以内であれば、再度異議を申し立てるチャンスがあります。
債務者が異議を申し立てた場合は、やはり支払督促は通常訴訟の手続きに移行します。
よって、すでに時効期間が経過している場合は、支払督促が届いたら異議申立書に消滅時効を援用する旨を記載して、裁判所に提出しておけばOKです。
債権者が消滅時効の援用を争わない場合は、裁判を続けても無駄と判断して、債権者側は裁判所に出廷しない可能性があります。
被告である債務者も裁判所に出廷しないと、両方が欠席となり裁判は休止となります。
その後、1ヶ月以内にどちらからも新たな裁判期日の指定がない場合は、裁判は取り下げたものとみなされるので、消滅時効の援用もなかったことになります。
よって、消滅時効の援用を裁判上でハッキリさせたいのであれば、たとえ原告である債権者が出廷しなくても、被告である債務者が裁判所に出廷して、判決を取得する必要があります。
また、裁判が取り下げられた場合は、別途、内容証明郵便で消滅時効の援用通知を債権者に送付しておいても構いません。
そうすることで、消滅時効を援用したことが証拠上からも明らかになるので、以降は債権者も請求してくることはないと思われます。
なお、司法書士であれば簡易裁判所の訴訟代理権がありますので、支払督促を受けた場合の訴訟代理人になることが可能です。
その場合、司法書士が債務者の代理人となって消滅時効の援用をおこないますので、ご自分で対応することが不安な方はお気軽に千葉の稲毛司法書士事務所までご相談ください。
<消滅時効の援用をおこなうことが多い業者>
・アイフル株式会社
・アコム株式会社
・アビリオ債権回収株式会社
・アペンタクル株式会社
・エイワ
・SMBCコンシューマーファイナンス株式会社(プロミス)
・エム・テー・ケー債権管理回収株式会社
・株式会社オリエントコーポレーション
・株式会社ギルド(トライト、ヴァラモス)
・ジャックス債権回収サービス株式会社
・新生フィナンシャル株式会社(レイク)
・株式会社セディナ債権回収
・ティー・オー・エム株式会社
・ニッテレ債権回収株式会社
・株式会社日本保証(武富士、ロプロ)
・パルティール債権回収株式会社
・三菱UFJニコス株式会社
【参考】