借金の消滅時効と保証債務

保証債務とは

保証債務というのは、保証人が債権者との保証契約に基づいて負っている債務のことです。

なお、実務上では連帯保証ではない通常保証が利用されることまずないため、ここでいう保証人はすべて連帯保証人という意味です。

保証債務は借主である債務者が負担している主債務とは別個の債務です。よって、消滅時効においても、保証債務が主債務とは別に時効にかかるケースがあるので注意が必要です

<ここがポイント!>
☑ 保証債務は主債務とは別個の債務なので、消滅時効の成立が分かれることもある

主債務と保証債務の消滅時効の中断

主債務者に時効の中断事由があった場合に、保証債務の時効も中断するのか、逆に保証債務に時効の中断事由があった場合に、主債務の時効が中断するのかについては、非常に紛らわしいところなので、以下の表で確認してください。

<消滅時効の中断一覧表>

主債務 保証債務
主債務者に対する請求 中断する 中断する
保証人に対する請求 中断する  中断する
主債務者による債務承認 中断する 中断する
保証人による債務承認 中断しない  中断する

 

主債務者もしくは保証人に請求があった場合

主債務者に請求があった場合、主債務者のみならず保証人の時効も中断します。よって、債権者とすれば、主債務者に請求すれば、保証人の消滅時効も中断させることができるわけです。

なお、ここでいう請求というのは単なる請求ではなく、裁判上の請求をいいます。また、保証人に対する請求であっても、主債務者の消滅時効が中断します。

本来であれば、主債務は保証債務に従属する関係ではないのですが、連帯保証においては、例外的に保証人に対して請求があれば、主債務者に対する時効も中断すると規定されています。

<ここがポイント!>
☑ 債権者が主債務者もしくは保証人へ請求した場合は、いずれの時効も中断する

主債務者もしくは保証人が債務を承認した場合

債務の承認というのは、借金の一部を返済したり、支払義務を認めた上で返済方法などの話をすることです。

もし、主債務者が債務の承認をした場合は、主債務の時効が中断するだけでなく、保証債務の時効も中断します。これは、保証債務は主債務に従属する債務だからです。

これに対して、保証人が債務の承認をした場合、保証債務の時効は中断しますが、主債務の消滅時効は中断しないとされています。

なぜなら、主債務は保証債務に従属しないからです。ただし、すでに述べたとおり、債権者が保証人に請求した場合は、主債務者の時効も中断するので、それと混同しないようにしてください。

<ここがポイント!>
☑ 保証人が債務の承認をしても主債務の消滅時効は中断しない

債権者が判決を取得した場合

債権者が判決を取得した場合、時効が10年に延長されます。

よって、債権者が主債務者に対して判決を取得すると、保証債務は主債務に従属する関係にあるので、保証債務の時効も10年に延長されます。

これに対して、債権者が保証人だけを被告とした裁判を起こして判決を取得した場合、保証人に対する時効が10年に延長されるのは当然ですが、主債務者の時効も10年に延長されるのかどうかが問題となります。

保証人に対する請求によって、主債務者に対する消滅時効も中断することとの関係で考えれば、主債務の時効も10年に延長されそうですが、主債務の時効が10年に延長されることはありません。

つまり、保証人に対して判決を取得した場合、主債務者の時効も中断されますが、時効期間は延長されず5年のままということです。

その結果、保証債務の時効完成前に主債務の時効が完成する事態が起こり得ます。

そうなると、保証人が保証債務の時効が完成していない段階で、主債務の消滅時効を援用することができるかどうかが問題となりますが、保証人は主債務の消滅時効を援用することができるとされています。

<ここがポイント!>
☑ 判決によって保証債務の時効が10年に延長されても主債務の時効期間には影響しない

時効期間経過後の債務の承認

実務上は、債権者が時効期間経過後であるにもかかわらず、債務者の無知に乗じて催告書を送りつけてくることは珍しくありません。

その場合、債権者が時効の援用をせずに1000円でも一部弁済してしまうと原則的に債務の承認となり、時効援用権を失ってしまいます。

この場合、主債務者が時効期間経過後に債務の承認をすると、保証人も時効援用権を失ってしまうのかどうかが問題となります。

なお、時効完成前に主債務者が債務の承認をした場合は、保証債務の時効も中断するのはすでに述べたとおりですが、時効期間経過後の場合は、たとえ主債務者が債務の承認をしても、保証人の時効援用権に影響はありません。

つまり、時効期間経過後に主債務者が債務の承認をしても、保証人は時効を援用することができるわけです。

<時効援用権の喪失>

主債務 保証債務
時効期間が経過する「前」に
主債務者が債務を承認
中断する 中断する
時効期間が経過した「後」に
主債務者が債務を承認
 時効援用権を喪失する 時効援用権を喪失しない

 

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