滞納家賃の消滅時効

家賃にも時効がある

アパートやマンション、店舗などを借りた場合の家賃や賃料にも時効があります。よって、滞納した家賃を支払わないまま5年が経過すると、借主は時効の主張ができるようになります。

これは、家賃が民法169条の定期給付債権に該当するからです。5年という時効期間は、借金の時効と同じです。

その結果、多額の家賃を滞納している場合でも、消滅時効の援用をすることで、借主は法的な支払義務を免れることができる場合があります。

よって、貸主とすれば、家賃管理を適切におこなわないと、借主からの時効援用によって、滞納家賃を回収することができなくなってしまうおそれがあります。

<ここがポイント!>
☑ 滞納家賃は5年で時効になる

時効の起算点

滞納家賃の消滅時効の起算点は、各回の家賃の支払日からとなります。例えば、滞納した家賃の支払日が平成23年3月と同年4月の場合、5年後の平成28年3月と同年4月にそれぞれ時効となります。

よって、1年分の家賃を滞納している場合でも、5年後に滞納している家賃1年分がすべて同時に時効になるわけではなく、一番古い支払日のものから順に時効になるわけです。

<ここがポイント!>
☑ 滞納家賃の時効は各支払日から個別に進行する

滞納家賃の時効中断

進行している滞納家賃の時効は、債権者である貸主が訴訟や支払督促などの裁判上の請求をするか、債務者である借主が一部弁済をするなどの債務の承認をすることで中断します。

よって、単に貸主から口頭や書面で滞納家賃の請求を受けているだけでは時効は中断しません。貸主から訴訟などを起こされて判決を取られた場合、時効は10年に延長されます。

しかし、判決から10年以上経過すれば消滅時効の援用が可能です。また、借主が滞納家賃の支払義務を認めたり、一部弁済をした場合は債務の承認となり、そこから時効が5年延長されます。

時効の中断とは、進行している時効が一時停止するということではなく、時効が中断するとそれまでの時効期間がいったんすべてリセットされて、そこから新たに時効がスタートすることになります。

例えば、家賃の支払日から4年が経過していたとしても、時効が中断した場合は、またゼロからのスタートとなります。

<ここがポイント!>
☑ 単なる口頭や書面による請求では時効は中断しない

滞納家賃と保証会社

保証会社が付いている場合は、借主が家賃を滞納すると、家賃保証会社が借主に変わって滞納家賃を貸主に支払うことになりますが、これを代位弁済といいます。

家賃保証会社が代位弁済をおこなった場合、借主に対して求償権を取得します。

家賃保証会社による代位弁済があった場合の時効は5年ですが、時効の起算点は家賃の支払日ではなく、代位弁済があった日となります。

これは、代位弁済によって求償権という新たな権利が発生しているからです。しかし、代位弁済をした日から5年以上経過している場合は消滅時効の援用ができます。

<ここがポイント!>
☑ 保証会社による代位弁済がある場合でも、5年以上経過すれば時効となる

滞納家賃と保証人

両親や親族が借主の保証人になっている場合、貸主である債権者は主債務者である借主と保証人のいずれかに裁判上の請求をすることで、両方の時効を中断させることができます。

例えば、主債務者が行方不明のため、保証人にだけ請求した場合でも、主債務者の時効も中断させることができます。

主債務者が滞納家賃を一部弁済するなどして債務の承認をした場合は、保証債務の付従性により、主債務のみならず保証債務の時効も中断します。

これに対して、保証人が債務の承認をした場合は、保証債務の時効のみが中断し、主債務の時効は中断しないとされています。これは、主債務は保証債務に従属していないからです。

ただし、例外としてすでに5年以上が経過している場合は、主債務者である借主が債務の承認をしても保証債務の時効は中断しないので保証人は消滅時効の援用をすることができます。

これはすでに時効期間が経過している場合にまで、主債務者の債務承認によって保証人の時効を中断させるのは酷だからです。

<ここがポイント!>
☑ 保証人が債務の承認をしても借主である主債務者の時効は中断しない

家賃の滞納と信用情報

一般的に家賃を滞納しても、借主の信用情報がブラックになることはありません。

いわゆるブラックリストに載るのは、金融機関やカード会社からの借金を滞納した場合なので、貸金業者ではない一般の貸主との賃貸契約に基づく家賃の滞納において信用情報がブラックになることはありません。

これに対して、オリコやジャックス、アプラスなどの貸金業者の家賃保証によって、クレジットカードで家賃を支払っている場合、家賃を滞納してしまうと日本信用情報機構(JICC)やシー・アイ・シー(CIC)などの信用情報機関に事故情報が掲載されるので注意が必要です。

なお、一度、事故情報が載ってしまうと延滞を解消してもその後5年間は事故情報が消えません。

<ここがポイント!>
☑ 貸金業者の家賃保証でカード払いをしている場合はブラックになることがある

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