消滅時効の援用と信用情報

時効の援用をする前の信用情報

貸金業者は信用情報機関に登録しており、債務者である借主の返済状況を信用情報機関に提供しています。

約束どおりに返済している限りは信用情報に傷が付くことはありませんが、借主である債務者が借金の返済を延滞した場合、信用情報に「延滞」と登録され、いわゆるブラックリストに載った状態となります。

一度、延滞情報が載ってしまうと、基本的にはずっと延滞情報が掲載されるので、借金を返済しない間は信用情報がブラックになったままとなります。

延滞情報が掲載されていると、原則的に他社を含めて新たに融資を受けられなくなったり、クレジットカードの利用ができなくなります。

<ここがポイント!>
 返済が滞ると信用情報に「延滞」と登録されてしまう

債権譲渡があった場合の信用情報

債権者は返済が滞った場合、借主である債務者に対する債権を債権回収会社などに譲渡することがあり、その旨が信用情報機関にも報告され、信用情報には「移管終了」と記載されます。

しかし、債権回収会社は信用情報機関の会員ではないため、信用情報機関は債権譲渡から一定期間が経過すると、元の信用情報自体を削除してしまうようです。

そのため、信用情報機関の会員ではない債権回収会社などに債権が譲渡された場合は、たとえ借金が残っていても、いわゆるブラックリストと呼ばれる事故情報が消えることがあります。

よって、すでに債権回収会社に譲渡された場合、自分の借金について調べてようと信用情報機関に照会しても、すでに信用情報自体が削除されていることがあります。

しかし、信用情報に借金に関する情報が載っていなくても、現実には債権回収会社に対する借金は残っているので、信用情報に事故情報がないからといって借金がないというわけではないわけです。

なお、債権譲渡があった場合、信用情報の「最新返済日」の項目には債権譲渡日が記載されるため、債務者が最後に返済した日が記載されているとは限りません。

よって、最新返済日が5年以内であっても消滅時効の援用ができる場合があるのでご注意ください。

<ここがポイント!>
☑ 債権回収会社に譲渡されると一定期間経過後に事故情報が消える場合がある

消滅時効を援用した場合の信用情報

借主である債務者が消滅時効を援用した場合、法的な支払義務はなくなります。

そのため、信用情報機関に掲載されている事故情報も当然消してもらえるかと思いがちですが、必ずしもそうではありません。

この辺の対応は貸金業者によっても異なりますが、中には消滅時効の援用は認めても信用情報については何もしてくれない業者もいます。

こういった対応をする根拠の一つに、消滅時効の援用をした場合、法的な支払義務は免れるが借金自体は残るという考え方(これを「自然債務」といいます)があるからです。

これに対して、消滅時効を援用した場合、借金自体がすべてなくなるという考え方もあり、現時点では借金が自然債務として残るのか、完全に消滅するかについての見解は分かれています。

そのため、貸金業者の中には自然債務である以上、たとえ消滅時効の援用によって、法的な支払義務がなくなっても借金自体は存在し続け、延滞されている状況に変わりはないので、信用情報には何も手を付けないという対応を取るところがあるわけです。

なお、自己破産をした場合は、免責決定の確定により法的な支払義務はなくなりますが、借金自体は自然債務として残り続けます。

なお、自己破産の事故情報も一生載るわけではなく、信用情報機関によって違いはありますが、5~10年の一定期間経過後に削除されます。

<ここがポイント!>
☑ 消滅時効の援用をしても事故情報(ブラックリスト)が消えるとは限らない

日本信用情報機構(JICC)の対応

基本的に信用情報機関は会員企業が上げてきた情報を元に信用情報を掲載します。

そのため、消滅時効の援用を受けた貸金業者が「完済」で情報を上げた場合は、たとえ実体が消滅時効の援用であっても完済として情報を掲載するようです。

これに対して、会員企業が実態どおり消滅時効の援用による消滅との情報を上げた場合は、ファイルごと削除されて該当情報なしになるようです。

これはどういうことかといえば、信用情報自体がなくなるので、消滅時効の援用によっていわゆるブラックリストと呼ばれる事故情報がなくなることを意味します。

なお、時効の援用により消滅と掲載されることはありません。

<ここがポイント!>
☑ 会員企業が時効による消滅と報告すれば事故情報は消える

シー・アイ・シー(CIC)の対応

時効の援用による消滅の場合、日本信用情報機構(JICC)ではファイルごと削除され該当情報なしになりますが、シー・アイ・シー(CIC)では会員企業が貸し倒れとの情報を上げれば「貸し倒れ」と記載され、契約終了との情報を上げれば「契約終了」と記載されるようです。

もし、債務者が貸し倒れではなく、契約終了の記載を要求しても、シー・アイ・シー(CIC)が訂正に応じることはなく、特に調査することもないようです。

なお、「貸し倒れ」と「契約終了」の掲載期間はいずれも5年間です。よって、消滅時効の援用をすれば5年後にはいわゆるブラックリストと呼ばれる事故情報が消えることになります。

<ここがポイント!>
☑ 消滅時効の援用をしても5年間は事故情報が掲載される

債務整理と事故情報一覧表

司法書士等の介入による任意整理や自己破産、個人再生があった場合の信用情報の掲載ならびに掲載期間については各信用情報機関によって異なります。

信用情報機関ごとの登録期間をまとめたものは以下のとおりです。

<事故情報の登録期間一覧表>

任意整理 個人再生 自己破産
日本信用情報機構
(JICC)
 5年 5年 5年
シー・アイ・シー
(CIC)
登録されない
登録されない
5年
全国銀行個人信用情報センター
(KSC)
 5年 10年 10年

 

※裁判所への特定調停、民事再生の申立てや司法書士等に債務整理を依頼した場合でも、それらを依頼した事実に関するコメントではなく、債務者が延滞した客観的事実が登録されます。なお、過払い金返還請求や、司法書士等が介入した旨をコメントするような登録項目もありません。

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