消滅時効が成立【NHK受信料⑧】

NHK福井放送局から請求書が届いたケースの解決事例

福井県にお住まの方から、NHKから滞納している受信料の請求書が届いたとご相談がありました。

15年くらい前から滞納している受信料の請求でした。

ご本人曰く、滞納してからは一度も支払いをしておらず、NHKと連絡も取っていないということです。

できることなら時効にしたいということで、当事務所にご連絡を頂きました。

以下のページで、NHKの対処法を紹介しているので参考にしてください。

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NHKから届いた請求書を確認したところ、請求内容は以下のとおりでした。

契約内容

  • ご契約件数 ➡ 地上契約
  • ご請求期間 ➡ 平成21年~令和6年
  • ご請求金額 ➡ 24万円

NHKと地上契約を締結したものの、平成21年から支払いをしていないことが分かりました。

カード会社等の借金であれば、時効が成立すればすべての支払い義務がなくなります。

これに対して、NHKの場合は時効が成立しても直近5年分は対象外です。

つまり、5年以上前の受信料のみが時効の対象になります。

よって、時効が成立しても令和元年以降の直近5年分の受信料については支払い義務があります。

時効が成立する条件

  • 5年以上前の受信料の請求が届いている
  • 5年以内に未納期間の支払いをしたり、支払いを認めるような話をしていない
  • 10年以内にNHKから裁判を起こされていない

ご本人の記憶では平成21年以降は一度も支払いをしておらず、NHKと一切接触していおらず、裁判も起こされていませんでした。

よって、今回は時効の可能性があると判断しました。

そこで、当事務所がNHK福井放送局に対して、内容証明郵便で時効の通知を送りました。

すると、1か月くらいで直近5年分(8万円弱)に減額された請求書が改めて届きました。

これにより、5年以上前の受信料の支払い義務を時効の援用によって消滅させることができました。

内容証明作成サービスであれば、自宅にいながらLINE、メールを利用して簡単にお申し込みができますので、ご自分で時効の援用ができない場合はお気軽にご利用ください。

ご依頼件数5000人以上

NHK受信料にも消滅時効の適用がありますが、NHKと受信契約を締結している方のみが対象になります。

つまり、NHKと受信契約を締結していない方は時効の援用をすることができません。

昔は受信料を支払っていたものの、引っ越しなどを機に請求書が届かなくなり、現時点で受信契約を締結しているかどうかわからない方も対象外です。

NHKから請求書が届いていても、受信料の請求期間が直近5年以内の場合も対象外となります。

なぜなら、直近5年分については時効にならないからです。

よって、NHK受信料を時効援用できるケースは以下のとおりです。

時効援用の対象になるケース

  1. NHKと受信契約を締結している
  2. NHKから請求書が実際に届いている
  3. 請求期間が5年以上前からになっている

テレビ等の受信機器を設置しているにもかかわらず、NHKと受信契約を締結していない方から受信契約を締結した方がよいかとご相談を受けることがあります。

この点については放送法では、テレビ等のNHKを受信できる設備を設置した者はNHKとの間で受信契約をしなければならないと定められています。

ただし、この規定に罰則はありません。

そのため、受信機器を設置しているにもかかわらず、NHKと受信契約を締結していない方は少なくありません。

また、受信機器を設置したからといって自動的に受信契約が成立することはなく、利用者が受信契約を締結することを承諾しなければ、受信契約が成立することはありません。

ただし、平成29年の最高裁判決によって、受信契約を締結していない場合の受信料の時効については以下のように判断されました。

平成29年最高裁判決の要点

  1. 受信契約が締結されていない場合、NHKが裁判を起こして判決が確定したときに受信契約が成立する
  2. 受信契約が締結されていなくても、テレビ等の受信機器を設置したときから受信料の支払い義務がある
  3. 受信契約をしていない場合、NHKとの受信契約が成立するまで時効はしない

平成29年最高裁判決によって、受信機器を設置しているのに受信契約を締結していない間に裁判を起こされた場合は、テレビ等を設置した日から現在に至るまでの受信料全額の支払いをしなければいけないということになりました。

さらに2023年4月から割増金の運用が開始されています。

割増金が適用されると通常の受信料に加えて、その2倍の相当する額を支払うことになります。

例えば、受信料の未納額が50万円だとすると、割増金はその2倍の100万円なので合計で150万円となります。

割増金が適用されるケース

  • 不正な手段によって受信料の支払いを免れた場合
  • 正当な理由がないのに期限までに受信契約の申し込みをしなかった場合

NHKから裁判を起こされる可能性は極めて低いとしても、受信契約を締結していないとテレビの設置日から遡って全額の受信料に加えて、その2倍の割増金の支払い義務を負うことになります。

これに対して、受信契約を締結している場合はNHKから裁判を起こされたとしても、5年以上前の受信料については時効の援用ができるので、直近5年分(地上契約の場合は約8万円)だけを支払えばよいことになります。

つまり、NHKから裁判を起こされた場合、同じ日にテレビを設置をしていたとしても受信契約を締結しているかどうかによって時効援用の可否や割増金の有無が異なるので、結果として支払うことになる受信料に雲泥の差が生じるということです。

よって、そういったリスクを考慮したうえで、受信契約を締結するかどうかを検討した方がよいと思われます。

50万円の受信料の裁判を起こされ場合

  • 受信契約を締結していない ➡ 割増金(100万円)を含めて150万円の支払い義務を負う
  • 受信契約を締結している ➡ 時効の援用によって8万円(直近5年分)だけで済む

当事務所はNHKの時効実績が豊富にあるので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。

いなげ司法書士・行政書士事務所

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