消滅時効が成立【中央債権回収株式会社③】
中央債権回収株式会社から「ご案内」が届いたケースの解決事例
相談内容
長崎県にお住まいの方から、中央債権回収の「ご案内」が届いたとご相談がありました。
20年前に契約した三菱UFJニコスの滞納金でした。
ご本人曰く、10年以上はしておらず、連絡も取ったことがないということです。
自分では滞納の仕方がわからないということで、当事務にご連絡をいただきました。
以下のページで、中央債権回収の対処法を紹介しているので参考にしてください。
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解決手段の検討
中央債権回収から届いた「ご案内」を確認したところ、請求内容は以下のとおりでした。
契約内容
- 原債権者 ➡ 三菱UFJニコス株式会社
- 契約年月日 ➡ 2004年
- 債権の譲受年月日 ➡ 2022年
- 残元金 ➡ 8万円
- 損害金 ➡ 24万円
- 損害利率 ➡ 14.6%
- 請求額 ➡ 32万円
2004年に三菱UFJニコスと契約をしたものの、その後に支払いが滞り、2022年に中央債権回収に債権が譲渡されていたことが分かりました。
滞納が始まった時期は不明でしたが、損害金が元金の3倍の金額になっていたので、おそらく契約直後から支払いをしていないと思われました。
なお、債権譲渡日が5年以内であっても時効には影響しません。
借金の時効条件
- 最後に支払いをしたのが5年以上前である
- 5年以内に支払いの話をしていない
- 10年以内に裁判を起こされていない
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裁判を起こされたどうかについては請求書には一切記載はありませんでした。
もし、裁判を起こされて判決などの債務名義を取られてしまうと時効がそこから10年となります。
ただし、ご本人の記憶では、これまでに裁判所から書類が届いたことはないということでした。
債務名義とは
- 仮執行宣言付支払督促
- 確定判決
- 調停調書(特定調停)
- 和解調書(和解に代わる決定)
もし、債務名義を取られていても、すでに10年以上経過していれば時効の可能性があります。
今回はおそらく裁判は起こされたことがないと思われましたが、仮に債務名義を取られていたとしても10年以上経過している可能性もあると思われました。
そこで、当事務所が内容証明郵便を作成して、中央債権回収に対して時効の通知を送りました。
すると、その後は中央債権回収から請求を受けることはなくなりました。
これにより、元金の3倍まで膨れ上がった損害金を含めた32万円の借金を時効の援用によって消滅させることができました。
内容証明作成サービスは日本全国対応なので、当事務所にお越し頂くことなく簡単にお手続きができます。
ご依頼件数5000人以上
アドバイス
中央債権回収は三菱UFJニコスの債権を譲り受けています。
よって、中央債権回収から「ご案内」が届いた場合は架空請求、詐欺と勘違いして請求を放置しないようにしてください。
5年の時効期間が経過していても、それだけでは中央債権回収の督促が止まることはありません。
なぜなら、時効を成立させるには債務者から中央債権回収に対して時効の通知を送る必要があるからです。
これを時効の援用といいます。
時効の援用方法に決まりはありませんが、配達証明付きの内容証明郵便で通知するのが一番安全です。
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時効の援用をおこなわず、請求を無視していると中央債権回収から裁判を起こされる可能性があります。
その場合は裁判所から訴状や支払督促が特別送達という郵便で届きます。
本人限定郵便ではないので、同居人であれば受け取ることができます。
不在の場合はポストに差出人が裁判所の不在票が投函されています。
わざと受け取らない方がいますが、その場合でも民事訴訟法の規則によって受け取ったものとみなされて、知らない間に裁判手続きが進む場合があります。
よって、裁判所から訴状や支払督促が届いた場合は、必ず受け取って内容を確認してください。
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具体的な対応としては、訴状が届いた場合は指定された裁判期日までに答弁書、支払督促が届いた場合は受け取ってから2週間以内に異議申立書を裁判所に提出する必要があります。
時効が成立した場合は中央債権回収が裁判を取り下げます。
ただし、裁判が取り下げになると答弁書や異議申立書で主張した時効の援用もなかったことにされて、中央債権回収からの請求が再開される可能性があります。
よって、裁判が取り下げになっても別途、内容証明郵便で時効の通知を送っておくのが確実です。
これに対して、判決や支払督促が確定した場合は時効が10年延長されるだけでなく、中央債権回収から強制執行を受けるおそれがあるのでご注意ください。
差し押さえの対象になるもの
- 不動産
- 動産(家財道具など)
- 自動車、オートバイ
- 給与
- 預貯金
三菱UFJニコスはCIC、JICCという信用情報機関に加盟しています。
よって、数ヶ月延滞するとCICには「異動」、JICCには「延滞」が登録され、これをブラックリストといいます。
滞納している限り、基本的にブラックリストが消えることはありません。
しかし、これには例外があり、債権が中央債権回収のようなサービサーに譲渡された場合です。
サービサーは貸金業者ではないので、信用情報機関に加盟していません。
そのため、債権がサービサーに譲渡されるとCICでは5年、JICCでは1年でブラックリストが抹消されます。
ただし、ブラックリストが消えても借金は残っているので、中央債権回収から請求を受けた場合はすみやかに時効の援用をおこなってください。
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20年も前の契約だと中央債権回収から請求を受けた時点で債務者が死亡していることがあります。
その場合、相続人が時効の援用をおこなうことができます。
ただし、すでに相続人が裁判所に相続放棄の申し立てをしている場合は、中央債権回収に対して相続放棄申述受理通知書を郵送すれば、それ以上請求を受けることはありません。
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相続放棄の申し立ては相続開始後3か月以内におこなう必要があります。
ただし、中央債権回収からの通知で初めて被相続人に借金があることを知った場合は、そこから3か月以内であれば相続放棄が受理される場合があります。
3か月過ぎた相続放棄の条件
- 被相続人の預貯金や不動産などの遺産を一切相続していない
- 相続時の調査では被相続人に借金があることが分からなかった
- 債権者からの通知で初めて借金の存在を知った
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その場合、相続放棄をおこなうべきか、時効の援用をおこなった方がよいのかという問題があります。
この点については、先に時効の援用をしてしまうと相続を承認したものとされて、そのあとに相続放棄ができなくなるおそれがあります。
よって、相続放棄が受理される可能性がある場合は先に相続放棄の申し立てをおこない、受理されなかった場合に時効の援用をおこなうのが安全です。
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お問い合わせ
当事務所は中央債権回収の時効実績が豊富にあるので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。
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