行方不明の者がいる場合の相続登記

被相続人が遺言書を残していた場合は、相続登記をおこなう際も遺言によって不動産を相続する者(もしくは遺言執行者)が単独で手続きをおこなうことができます。

これに対して、遺産分割による相続登記の場合は、相続人が全員参加して遺産分割協議をおこなわなければいけません。

しかし、遺産分割協議をしたいのに連絡が取れない相続人がいる場合はどうすればよいのでしょうか。

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一言で連絡が取れないといっても、大きく分けると2つのパターンに分けられます。

一つ目は「連絡先は分かっているが単に無視されて連絡が取れないケース」です。

二つ目は「連絡を取ろうにも行方がまったく分からないケース」です。

それぞれのケースで、取るべき手段が異なります。

相続人と連絡が取れないパターン

☑ 連絡先は分かるが無視されている

☑ 住所も連絡先もわからない(行方不明)

この場合は、連絡先が分かっているので、まずは電話や書面で粘り強く遺産分割協議への参加を働きかけます。

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それでも応じてもらえない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。

裁判所からの呼出しにも応じない場合は、調停から審判に移行することになります。

遺産分割審判では、裁判所が「相続財産の種類や性質」「相続人の年齢や職業」「各相続人の健康状態や生活環境」などをすべて考慮したうえで遺産の分配方法を決定します。

その際は、各相続人の「寄与分」「特別受益」も判断材料になります。

遺産分割調停との最大の違いは、相続人の合意がなくても、裁判所の判断で分割方法が決定されるという点です。

ここがポイント!

☑ 連絡先が分かるのであれば遺産分割協議への参加を働きかけ、応じてもらえない場合は裁判所に遺産分割調停を申し立てる

☑ 遺産分割調停が不調に終わった場合は、自動的に審判手続きに移行されて、裁判所が総合的な判断に基づいて遺産の分割方法を決定する

行方不明の相続人がいる場合、その者を除外したままでは遺産分割協議をおこなうができません。

こういった場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てをおこないます。

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選任された不在者財産管理人の本来業務は、行方不明者の財産を管理・保存することですが、裁判所の許可を得た上で、不在者である相続人に代わって遺産分割協議に参加することができます。

不在者といえるためには「行方不明になってから少なくても1年以上」は経過している必要があります。

よって、行方不明になってから1ヶ月くらいでは利用することはできません。

「生死不明から7年以上」経過している場合は、失踪宣告の申し立てをすることができます。

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失踪宣告がされると「行方不明から7年が経過したとき」に死亡したものとみなされます。

ここがポイント!

☑ 1年以上行方不明であれば不在者財産管理人を選任して、管理人が遺産分割協議に参加する

☑ 7年以上行方不明であれば失踪宣告の申し立てができる

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