代襲相続による相続登記
代襲相続とは
代襲相続というのは、相続人になるはずだった人が、相続開始以前に死亡していた場合に、その子や孫が代わって相続人になる制度です。
なお、死亡以外にも相続欠格、廃除の場合にも代襲相続は生じますが、相続放棄の場合には代襲相続は生じません(先順位者の相続放棄と代襲相続はこちら)。
上記の図で具体例を挙げると、平成27年の夫Aの法定相続人は、妻B、長男C、子F、子Gの4人となります。これは、夫Aが死亡するより前の平成25年に次男Dが死亡しているため、次男Dの子F、子Gが代襲相続人になるからです。
なお、子F、子Gが未成年者である場合、法定代理人として妻Eが遺産分割に参加することになりますが、もし、子F、子Gの2人とも未成年者である場合は、妻Eが2人の法定代理人になることは利益相反となるので、どちらか一方に特別代理人を付けなければいけません。
数次相続との違い
代襲相続と紛らわしいものに数次相続があります。数次相続は、第1次相続の手続きをする前に、第2、第3の相続が発生することをいいます。
上記の例では、妻B、長男C、次男Dの3人が遺産分割協議をする前に、次男Dが死亡したようなケースです。
数次相続では、夫Aの死亡時に次男Dは生きていたので、夫Aの相続人は妻B、長男C、次男Dの3人となります。
その後、次男Dが死亡したことにより、次男Dが有していた夫Aの相続権を妻E、子F、子Gの3人が承継します。
その結果、夫Aの遺産分割協議に参加する相続人は妻B、長男C、妻E、子F、子Gの5人で、妻Eが相続人になる点がポイントです
<ここがポイント!>
☑ 代襲相続では妻Eは相続人とはならないが、数次相続では妻Eも相続人となる
兄弟姉妹の代襲相続
被代襲者が亡くなった被相続人の子である場合、代襲者は直系卑属(孫、曾孫、玄孫など)なので、もし、孫もすでに死亡している場合は、法律上は曾孫(ひまご)、玄孫(やしゃご)へと再代襲します。
これに対して、被代襲者が兄弟姉妹の場合、甥姪までしか代襲しません。これにより、代襲相続によって相続人になる可能性があるのは、兄弟姉妹の子(甥姪)までということになります。
これは、血のつながりの薄い、いわゆる「笑う相続人」を出さないためです。
<ここがポイント!>
☑ 相続人が兄弟姉妹の場合、代襲相続は甥姪まで
代襲相続における相続登記
代襲相続が発生している場合、戸籍の内容をきちんと確認し、相続人が誰になるのかに気をつければ、あとは通常の手続きとなんら変わりはありません(戸籍の集め方についてはこちら)。
つまり、遺産分割による相続登記であれば、代襲相続人を含めた相続人全員で遺産分割協議書を作成すればよく、遺産分割協議を作成する際も、特に代襲相続人である旨を記載する必要はありません(相続登記のパターンはこちら)。
<ここがポイント!>
☑ 代襲相続があっても相続登記は通常どおりの手続きでOK
関連ページ
☑ 数次相続による相続登記
☑ 相続登記における戸籍の提出範囲
☑ 先順位者の相続放棄と代襲相続