先順位者の相続放棄と代襲相続

先順位相続人が相続放棄をすると、相続権が次順位相続人へ移ります。

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例えば、亡くなった被相続人のが相続放棄した場合、相続権が第二順位の被相続人の直系尊属(父母など)に移ります。

第二順位の相続人は被相続人の直系尊属とされていますが、被相続人の父母のみならず、祖父母が健在であった場合は被相続人と親等が近い者が相続人となります。

例えば、被相続人の子が相続放棄をした場合、次順位の相続人は被相続人の父母ですが、父母が共に相続放棄しても、被相続人の祖父母が健在であれば、相続権は父母から祖父母に移ります。

つまり、第二順位である直系尊属の全員が相続放棄をしない限り、第三順位の兄弟姉妹に相続権が移ることはないというわけです。

ここがポイント!

☑ 先順位の相続人全員が相続放棄をすると、相続権が次順位相続人に移る

☑ 第二順位の相続権は親等が近い方が優先する

被相続人の子が相続放棄をした場合、相続権は第二順位の相続人である被相続人の直系尊属(父母、祖父母など)に移ります。

つまり、被相続人の子が相続放棄をしても、被相続人の直系卑属(孫など)が代襲相続するわけではないということです。

なぜなら、代襲相続というのは被相続人の子が被相続人よりも先に亡くなった場合に、被相続人の子の子(孫)に相続権を発生させる制度なので、先順位相続人が相続放棄をしたとしても代襲相続の問題は発生しないからです。

被相続人の子が相続放棄をして、その後、第二順位の相続人である直系尊属(父母、祖父母など)、第三順位の相続人である兄弟姉妹の全員が相続放棄をした場合は「相続人不存在」となります。

もし、特別縁故者(内縁の妻など)がいればその者が相続財産を請求できる場合があります。

特別縁故者もいなければ、相続財産は国庫に帰属します。

ここがポイント!

相続放棄をしても代襲相続は発生しない

すでに述べたとおり、相続放棄をしても代襲相続は発生しません。

これと紛らわしいケースとして、親の相続を放棄した子が祖父母の相続をすることができるのかという問題があります。

例えば、父が多額の借金を残して死亡したため、その子が相続放棄をした後に祖父が亡くなったようなケースです。

子が父の相続を放棄している場合の祖父の相続

祖父(令和6年死亡)(令和5年死亡) 子(令和5年に父の相続放棄済)

この場合、子は祖父の代襲相続人として祖父の遺産を相続することができるのでしょうか。

なぜ、このような疑問が出てくるかといえば、子が父の相続においてすでに相続放棄をしているため、民法上は父の相続人ではないからです。

結論からいえば、子は祖父の代襲相続人として相続権を有します。

なぜなら、子が父の相続において相続放棄をしていても、子が祖父の代襲相続人であることに変わりはないからです。

そもそも、代襲相続は被相続人の子が被相続人よりも先に死亡している場合に「その者の子」が代襲して相続人になることを定めた規定です。

つまり「被相続人の子の子」であることが代襲相続の条件なのであって、被相続人の子の相続人であることは条件とはなっていないため、親の相続放棄をした子であっても祖父母の代襲相続人になることができるわけです。

ここがポイント!

相続放棄をした者であっても代襲相続人になることができる

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