相続放棄をする理由と相続分の集中

借金がなくても相続放棄できるのか

一般的に裁判所に相続放棄の申立てをする場合、被相続人が残した借金の支払いから逃れるためであることが多いです。

これは、相続放棄をすることで、その相続人は初めから相続人でなかったものとされるので、不動産や預貯金のプラスの財産を承継できなくなるのは当然として、借金などのマイナスの財産も承継しなくて済むからです。

しかし、相続放棄は必ずしも被相続人が残した借金から逃れるためにおこなわれるものではありません。

つまり、被相続人に借金がない場合であっても相続放棄をすることはできますし、実際にも借金以外の理由で申立てをすることは珍しくありません。

なお、相続放棄申述受理申立書では、相続放棄をする理由として、あらかじめ以下のよう事由が記載されています。

相続放棄の理由

☑ 被相続人から生前に贈与を受けている
☑ 生活が安定している
☑ 遺産が少ない
☑ 遺産を分散させたくない
☑ 債務超過のため

相続分を特定の相続人に集中させる方法

実際の相続では、被相続人と同居していた長男が一切の相続分を承継し、残りの相続人は放棄するという事例は珍しくありません。

このような場合に、相続分を長男に集中させる方法として取りうる選択肢は以下のとおり3つあります。

相続分を集中させる方法

☑ 遺産分割協議
☑ 相続分の譲渡
☑ 相続放棄

一般的によくおこなわれている選択肢は遺産分割協議です。なぜなら、遺産分割は相続人全員が合意すればどのような内容であっても構わないからです。

そのため、例えば長男がすべての財産を承継し、残りの相続人は一切もらわないという内容であっても、相続人全員が合意している以上は問題ありません。

相続分の譲渡というのは、自分の相続分を包括的に他の相続人または第三者に譲渡することです。つまり、相続人の地位を譲渡するということです。

これにより、相続分を譲り受けた者は譲渡人に代わって遺産分割協議にも参加できるようになります。ただし、一般的にはあまり利用されていません。

相続分の集中と債務の取扱い

被相続人に借金がある場合、その借金は法定相続分に従って各相続人に承継されます。

なお、遺産分割協議や相続分の譲渡をおこなうことで、特定の相続人に相続分を集中させることができますが、この2つの手段が相続放棄と大きく異なる点は相続債務(借金)の取扱いです。

すでに述べたとおり、相続放棄をすると初めから相続人ではなくなるので、相続放棄にはプラスの相続財産を特定の相続人に集中させるという側面だけでなく、仮に被相続人に借金があっても相続放棄をした相続人は借金を承継せずに済むという効果が発生します。

これに対して、遺産分割協議や相続分の譲渡で注意しなければいけないのは、たとえ相続人の間で特定の相続人が借金を支払うことを合意したり、自己の相続分をすべて他の共同相続人に譲渡したとしても、債務(借金)については債権者の同意がない限り、依然として法定相続分どおりの支払義務が残るという点です。

そのため、被相続人が借金から完全に逃れるには裁判所に相続放棄の申立てをするほかありません。

<ここがポイント!>
☑ 遺産分割や相続分の譲渡では借金の支払いから完全に逃れることはできない

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