相続放棄が却下される場合

相続放棄の申述が受理される要件

相続放棄が受理されるには2つの要件があります。家庭裁判所はこの2つの要件をクリアーしている場合は相続放棄を受理します。

相続放棄が受理される要件

☑ 相続放棄の申立てが法定期間内にされたこと
☑ 法定単純承認に該当する事由がないこと

まず、一つ目は相続放棄の申立てが、民法が定める法定期間内(これを熟慮期間といいます)にされていることです。

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内にする必要があります。

なお、自己のために相続開始があったことを知った時というのは、①相続開始の原因である事実、②自分が法律上の相続人になった事実、の両方を知った時です。

もし、被相続人の死亡日から3ヶ月以内に相続放棄の申立てをしている場合は、熟慮期間が問題になることはありませんが、熟慮期間経過後に初めて被相続人の借金が発覚したために、法定期間の3ヶ月経過後に申立てをしたような場合は、たとえ特別な事情があるとして、裁判所で相続放棄が受理されたとしても、債権者が相続放棄の効力を争ってくることがあります。

二つ目は、法定単純承認に該当する事由がないことです。

もし、相続放棄の申立てが熟慮期間内であったとしても、すでに当該相続人が相続財産の一部もしくは全部を処分しているような場合は、相続を承認したものとみなされ、もはや相続放棄をすることはできなくなります。

よって、熟慮期間内であっても法定単純承認に該当する事由が存在すれば、相続放棄の申立ては却下されることになります。

なお、相続人が法定単純承認に該当する事由があったことを隠したまま申し立てをしたような場合、裁判所も法定単純承認に気付かずに、そのまま相続放棄を受理することもありますが、そのような場合は、債権者が相続放棄の効力を争うことができます。

<ここがポイント!>
☑ 相続放棄の申立てが法定期間内におこなわれ、かつ、法定単純承認に該当する事由がなければ、当該申立ては必ず受理される

相続放棄の申述受理とその効果

裁判所で相続放棄の申述が受理されると、当該相続人は初めから相続人でなかったものとみなされます。

ただし、裁判所における相続放棄申述受理の審判は、相続放棄の意思表示を裁判所が公証する行為であって裁判ではないとされています(大阪高裁昭和27年6月28日決定)。

そのため、相続放棄の申述が受理されても、当該相続放棄の効力が裁判上確定したわけではないので、もし、相続放棄の要件を欠いている場合には、債権者は別途、裁判を起こして相続放棄の効力を争うことができます。

なお、実際の裁判所の運用においても、相続放棄の要件を満たしていないことが明らかでない限りは、当該申述を受理するという取り扱いがされています。

<ここがポイント!>
☑ 相続放棄の申述受理というのは、裁判所が相続放棄の申述のあったことを公証する行為である
☑ 要件を欠いていることが明らかでない以上は、裁判所は当該相続放棄の申立てを受理する

東京高裁平成22年8月10日決定

相続放棄の申述がされた場合、相続放棄の要件の有無につき入念な審理をすることは予定されておらず、受理がされても相続放棄が実体要件を備えていることが確定されるものではないのに対し、却下されると相続放棄が民法938条(相続の放棄の方式)の要件を欠き、相続放棄したことを主張できなくなることにかんがみれば、家庭裁判所は、却下すべきことが明らかな場合以外は、相続放棄の申述を受理すべきであると解される。

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