公正証書遺言の作成
公正証書遺言の作成手順
公正証書遺言は自筆証書遺言とは異なり、公証人が遺言書を作成します。つまり、遺言者は、自分が希望する遺言内容を公証人に伝えれば、あとは公証人が遺言書を作成してくれるわけです。
以下に、公正証書遺言ができあがるまでの簡単な流れを書いておきますので参考にしてください。
<公正証書遺言ができあがるまでの流れ>
公証役場に予約を入れる
※いきなり公証役場に行っても、その場ですぐに作成してもらえるわけではないので、電話予約で公証人のスケジュールを確認した上で相談に行く必要があります
公証人との打ち合わせ
※予約が取れたら一度、公証役場に出向いて面談し、どのような内容の遺言を作成したいかを公証人に伝える必要があります
公証人から文案と手数料の提示
※公証人が遺言者の希望を聴き取った上で後日、文案を作成してくれて、合わせて手数料も教えてくれます
公証人が遺言書を作成
※公証人から指示された必要書類を持参し、証人を2人連れて公証役場に行って、遺言書を作成してもらいます
公正証書遺言の出来上がり
※完成した公正証書遺言の原本は公証役場が保管してくれるので紛失のおそれがありません
<作成当日の流れ>
1.遺言者が証人2名の前で、氏名、生年月日を述べ、遺言者の本人確認をします
2.公証人が遺言者の推定相続人(妻、子ども、兄弟姉妹など)の確認をします
3.どのようなきっかけで遺言を作成することにしたのか、誰にどの遺産を相続させるかなどを公証人が遺言者に対して口頭で確認します
4.公証人が準備した公正証書遺言の原案を読み上げ、その内容が自分の考えと同じであることを遺言者が確認します
5.その通りであれば、遺言者と証人が遺言公正証書の原案に署名押印し、最後に公証人が署名押印します
公正証書遺言の手数料
公正証書遺言の作成手数料は、以下の表のとおり、「相続財産の価額」と「相続させる人数」によって異なります。詳しくは、公証役場にご確認ください。
目的の価額 | 手数料 |
100万円まで | 5000円 |
200万円まで | 7000円 |
500万円まで | 1万1000円 |
1000万円まで | 1万7000円 |
3000万円まで | 2万3000円 |
5000万円まで | 2万9000円 |
1億円まで | 4万3000円 |
注1) 相続(遺贈)を受ける者が2人以上ある場合、相続人(受遺者)ごとに、その目的の価額によって手数料を算定して合算します
注2) 目的価額の総額が1億円以下の場合は、1万1000円を加算します
<具体例>
遺言者Aさんが総額6000万円の財産を、妻Bに3000万円、長男Cに2000万円、次男Dに1000万円の割合で相続させる場合。
手数料を算出するために、上記表へそれぞれの価額を当てはめます。
妻B ➡ 3000万円 ・・・ 手数料2万3000円
長男C ➡ 2000万円 ・・・ 手数料2万3000円
次男D ➡ 1000万円 ・・・ 手数料1万7000円
「目的価額」が1億円以下・・・ 手数料1万1000円加算
合計 手数料7万4000円
※このほかに公正証書正本・謄本の作成手数料が4000円程度かかるのが通常です
どこの公証役場に行けばいいのか
遺言者本人が公証役場に出向くのであれば、どこの公証役場でも遺言書を作成してもらえます。例えば、千葉にお住まいの方が、仕事先の東京の公証役場で遺言書を作成することも可能です。
しかし、千葉にある公証役場は千葉地方法務局に属しているので、遺言者が病気などで公証役場に出向くことができず、公証人に出張してもらう必要がある場合は、千葉の公証役場に出張をお願いする必要があります。
なお、当事務所にご依頼頂いた場合、特に遺言者のご希望がなければ、千葉公証人合同役場で作成させて頂きます。
<ここがポイント!>
☑ 遺言者本人が公証役場に出向く場合はどこでもOK
司法書士に公正証書遺言の作成をお願いするメリット
上記のとおり、公正証書遺言は公証人が作成してくれますが、公証人がどのような内容にしたらよいのか具体的にアドバイスしてくれるわけではありません。
これに対して、司法書士にお願いした場合は、遺言者の財産状況や各相続人の遺留分などを考慮した上で、なるべく相続争いが起きないような文案を作成してもらえますし、面倒な公証役場との打ち合わせもすべて司法書士がおこなうので、その点が大きく異なります。
また、公正証書遺言では証人を2人連れて行かなければいけませんが、遺言者の相続人や受遺者は利害関係上、証人になることができません。
かといって友人や知人にお願いすると遺言内容を知られてしまうので、現実的には証人を2人用意するのはなかなか困難です。
その点、司法書士自身が1人目の証人になってくれますし、当事務所では2人目の証人もご用意することが可能なのでお気軽にご相談ください。
証人になれない人
☑ 未成年者
☑ 遺言者の推定相続人およびその配偶者ならびに直系血族
☑ 受遺者(遺言によって財産をもらう第三者)およびその配偶者ならびに直系血族
※直接の利害関係がある遺言者の相続人や受遺者のみならず、その配偶者や直系血族も証人になることができないので、およそ遺言者の身内は証人になれません
司法書士にお願いするメリット
☑ 遺留分などを考慮した上で最適な文案を作成してもらえる
☑ 面倒な公証役場との連絡は司法書士が全ておこなってくれる
☑ 証人2人を用意してもらえる
☑ 司法書士を遺言執行者に指定することもできる
最適な文案の作成
司法書士に遺言書の作成をお願いした場合、遺言者の財産状況と各相続人の法定相続分を考慮した上で、なるべくすべての相続人が納得できるような遺言内容を検討します。
その際は、各相続人の遺留分なども考慮した上で、最適と思われる文案を作成します。
公証人との打ち合わせ
遺言者本人が公正証書遺言を作成する場合は、公証人との打ち合わせもすべて自分でおこなう必要があります。
これに対して、司法書士にお願いした場合は、面倒な公証人との打ち合わせはすべて司法書士がおこないます。
証人2人の用意
公正証書遺言を作成する場合は、遺言者本人の他に証人2名を公証役場に連れて行かなければいけません。
しかし、遺言者の身内(遺言者の推定相続人、受遺者など)は証人になることができないので、証人を2人も用意するのはなかなか困難です。この点、司法書士が証人になってくれるので安心です。
遺言執行者への就任
遺言内容の実現のために、あらかじめ遺言書の中で相続人や受遺者を遺言執行者に指定しておくことができますが、司法書士を遺言執行者にすることも可能です。
法律の専門家である司法書士を遺言執行者に指定しておくことで、遺言内容の実現性が高まります。
必要書類
公正証書遺言を作成する場合に必要な一般的な書類を挙げておきます。なお、必要書類については公証役場によって多少異なる場合があります。
☑ 遺言者の印鑑証明書
☑ 財産をもらう人が相続人の場合は、その相続人の戸籍謄本
☑ 財産をもらう人が相続人以外の場合は、その人の住民票
☑ 財産の中に不動産がある場合は、登記事項証明書および固定資産税評価証明書
☑ 証人の住民票
注)金融資産の内容は、公証人に口頭で伝えるだけで構いませんが、もし、預金、株券等を遺言書の中で個別に記載する場合は、通帳等も用意する必要があります
公正証書遺言作成サポートの料金
5万円~(+実費) ※税抜き
※事案により異なりますので詳しくはお問い合わせください
司法書士報酬以外にかかる実費
☑ 公証人の手数料
☑ 戸籍謄本、印鑑証明書、住民票の手数料
☑ 不動産評価証明書の手数料
☑ 登記事項証明書の手数料
☑ 郵送費
依頼した場合の流れ
来所相談
※電話、メール、ネットからご予約ください
書類収集
※当事務所が必要な戸籍謄本、不動産の登記事項証明書などを取得します
遺言書の文案作成
※お客様のご希望に沿った案を作成します
文案をお客様へ提示
※納得がいくまで何度でも打合せします
公証役場の予約
※通常1週間程度で予約が入ります
公証人との打ち合わせ
※当事務所が窓口となります
公証人から文案と費用の提示
※公証役場から文案と見積もりが提示されます
公証役場で遺言書作成
※司法書士がお客様と公証役場へ行きます
出来上がり
※原本は公証役場で保管されます
関連ページ
☑ 遺言書のススメ
☑ 自筆証書遺言の作成
☑ 遺言書の検認手続き
☑ 遺言執行者の選任申し立て手続き