前回、相続の方法は大きく分けると3つの方法があると紹介しました。
おさらいしますと、遺言、法定相続、遺産分割協議となります。
上記3つのうち、生前に被相続人自らが行えるのは遺言のみです。
法定相続と遺産分割協議は、亡くなった後の話なので被相続人は関与できません。
よって、遺言は自分が亡くなった後に、自分の意向に従って財産を処分する唯一の方法といえます。
つまり、遺言を遺すことで、好きな人に財産を譲ることができるわけです。
ところで、遺言のほかに、生前に財産を渡す方法として生前贈与という方法があります。
この2つの手続きの大きな相違点は、生前贈与が渡す者ともらう者との間の契約であるのに対して、遺言は遺言者の一方的な単独行為という点です。
つまり、生前贈与では2当事者間が生前に贈与契約を締結し、その効力も死因贈与でない限り、生前に発生しますが、
遺言は被相続人が生前に一方的にその内容を遺言に書いておくもので、もし、受遺者がその受け取りを拒否すれば効力は発生しません。
よって、遺言を書く段階で受遺者にする者が将来的に受け取りを拒否する可能性が高いとわかっていれば、たとえ遺言に書いておいても効力を発生しませんので注意が必要です。
その点、生前贈与であれば、両者が生存中に贈与契約の意思を確認し合ったうえで締結するので、確実に財産を相手方に移転することができます。
もし、自分が亡くなった時点で初めて所有権を受贈者に移転したいのであれば、死因贈与契約を生前に締結しておくことでその目的を達成することができます。
なお、生前贈与の場合、意外なほど贈与税がかかるので、もし、検討されている場合は一度、お近くの税理士に相談された方が安全です。