相続放棄が成立【アイアール債権回収株式会社②】

死後4年以上経過してから相続人に請求書が届いたケースの解決事例

東京都にお住まいの方からアイアール債権回収株式会社から「ご連絡のお願い」が届いたとご相談がありました。

4年以上前に死亡した父の借金で、相続人である自分宛てに初めて請求書が届いたそうです。

父が死亡してからこれまでに一度も連絡はなく、ご本人は今回の通知で借金があることを初めて知りました。

請求額が830万円と非常に高額で、とても支払えるような金額ではないので、どうにかならないかと当事務所に連絡がありました。

以下のページで、アイアール債権回収株式会社の対処法を紹介しているので参考にしてください。

アイアール債権回収株式会社から届いた「ご連絡のお願い」には以下のような記載がありました。

前略、当社は、〇〇殿に対し、下記【譲受債権内容】記載の債権を有しておりますが、貴殿が同人の相続人と想定されるため、ご連絡致しました。

民法第896条に基づき、相続人は被相続人の資産だけでなく負債も相続することとなるため、相続人である貴殿は、下記債権についてお支払いの義務が引き継がれることになります。

また、相続開始および負債の内容を知ってから3か月経過致しますと、相続放棄が認められないことがあります。

つきましては、お手数をお掛け致しますが、当社までご連絡を頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

なお、既に相続放棄をされた場合、あるいは今後、相続放棄される予定の場合もご連絡を頂けますよう、重ねてお願い申し上げます。

アイアール債権回収株式会社の『ご連絡のお願い』

被相続人が借金を残したまま死亡すると、相続人が借金の支払い義務を引き継ぎます。

ただし、被相続人が死亡してから3ヶ月以内に裁判所へ相続放棄の申し立てをおこなうことで、借金を含めた一切の遺産を相続せずに済みます。

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よって、不動産や預貯金よりも借金の方が明らかに多いような場合は、裁判所に相続放棄の申し立てをすることで借金を相続せずに済みます。

また、亡くなられてから3ヶ月以上経過している場合でも、一切の遺産を相続しておらず、債権者からの通知で初めて借金の存在を知ったような場合は、債権者の通知で借金があることを知ってから3ヶ月以内であれば相続放棄が受理される場合があります。

今回のケースでは、お父様に不動産や預貯金は一切なく、ご本人はなにも相続していませんでした。

また、ご本人はアイアール債権回収からの通知によって初めて借金があることを知りました。

よって、お父様の死亡からすでに4年以上経過していますが、今からでも相続放棄が受理される可能性があると判断しました。

ご本人に相続放棄の可能性があることを伝えたところ、当事務所が裁判所に提出する相続放棄の申立書類を作成することになりました。

今回は被相続人の死亡から4年以上経過していたので、ご本人とお父様との生前から亡くなるまでの家族関係や、借金があることがわからなかった事情などを上申書で詳細に裁判所に説明しました。

その結果、無事に相続放棄が受理されて、裁判所から相続放棄申述受理通知書が送られてきました。

すぐに相続放棄申述受理通知書のコピーをアイアール債権回収に郵送したところ、その後は一切連絡がこなくなりました。

これにより、お父様が亡くなられてから4年以上経過していましたが、相続放棄が受理されたことにより、830万円(元金420万円、損害金410万円)の借金を相続することもなくなり、ご本人にも安心して頂けました。

相続するか放棄をするかを決める3か月の期間を熟慮期間といいます。

熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月です。

しかし、自分が相続人であることを知った時から3か月が経過していても、特別な事情があれば例外的に相続放棄が認められる場合があります。

昭和59年4月27日の最高裁判決では特別の事情が認められるポイントして、以下の3つを挙げています。

特別の事情とは

  • 被相続人に相続財産がまったく存在しないと信じた
  • 相続財産の調査をすることが著しく困難な事情があった
  • 相続財産がまったく存在しないと信じたことに相当な理由があった

実務上では、そこまで厳しく特別の事情があったかどうかを調べられることはなく、却下すべき明らかな事情がなければ、相続放棄が受理されることが多いです。

よって、契約者本人の死亡から何年経っていても、債権者からの通知で初めて借金を知ったのであれば、時効援用よりもまずは相続放棄をおこなうことを検討すべきです。

なぜなら、時効援用をおこなうと相続を承認したとみなされるおそれがあるからです。

これを法定単純承認といいます。

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時効の援用をおこなうという行為が法定単純承認に該当すると解釈すると、もし、時効援用をおこなって時効が成立しなかった場合に、あとから相続放棄をおこなうことができなくなります。

よって、相続放棄が受理される可能性がある場合は、まずは相続放棄をおこなってみて、放棄が受理されなかったら時効の援用をおこなうのが安全です。

相続放棄の申し立てを専門家に頼まずに自分でできるかについては、被相続人の死亡から3ヶ月以内かどうかで異なります。

今回のように被相続人の死亡から3ヶ月以上経過している場合は、上申書を作成して裁判所に特別な事情があったことを理解してもらう必要があります。

つまり、上申書の内容次第では相続放棄が受理されない可能性があるわけです。

よって、3か月が過ぎている相続放棄は自分でおこなうよりは専門家に依頼をした方が受理される可能性が高くなるので、自分で申し立てをするよりも専門家に依頼をした方が安全だと思われます。

当事務所は3か月が過ぎた相続放棄の実績が豊富にありますので、ご自分で対応できない場合はお気軽にご相談ください。

いなげ司法書士・行政書士事務所

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