成年後見制度と相続登記が必要な抵当権の抹消と売買による所有権移転

相続登記が必要な抵当権の抹消と相続登記が不要な売買登記

そもそも、なんで成年後見制度が必要なのでしょうか?

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成年後見制度は精神上の障害を患っている方が不利益を被らないように、その方を援助してくれる人を家裁に選らんでもらうというものです。

成年後見制度では、精神上の障害により判断能力が十分でない方の保護を図りつつ、以下の理念をその趣旨としています。

成年後見制度の理念

1.自己決定権の尊重

2.残存能力の活用

3.ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという理念)

よって、仮に成年後見人が選任されてもスーパーでお肉やお魚を買ったり、お店で洋服や靴を買ったりするような日常生活に必要は範囲の行為は本人が自由にすることができるわけです。

なお、成年後見制度では、精神障害の程度によって3つに分類されます。

成年後見制度の類型

1.後見

2.保佐

3.補助

精神障害の程度が重ければ後見、軽ければ補助となります。

種類ごとに後見人が代理できる範囲などが違います。

この3つのうちのどれに該当するかを判断するかは、まず医師の診断によります。

ただし、最終的には裁判所の判断によりますので、保佐で申立てをしても、後見になることもあります。

成年後見制度の利用を検討されている方は、精神障害の程度がどれに該当するのか、それとも成年後見制度を利用するほどでもないのかも含めて、医師の診断を受けることをおススメします。

ただし、成年後見制度が利用できる場合は限定されています。

成年後見を利用できる場合は精神障害を患っている場合に利用できます。

精神障害には以下のようなものがあります。

主な精神障害

1.認知症

2.統合失調症

3.知的障害

身体障害のみでは成年後見制度は利用できないのでご注意下さい。

次の話は、成年後見から離れまして、抵当権の抹消手続きについてです。

住宅ローンを借りるときは、必ずその住宅に抵当権などの担保を付けます。

そして、何十年もかけてようやく返済し終わったら、担保を抹消する必要があります。

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抵当権抹消登記をしないと、実際には住宅ローンは返し終わったにもかかわらず、登記上は担保が付いたままです。

普通は返済し終わったら銀行から抹消登記に必要な書類をもらうので、そのあとすぐに抹消登記を司法書士に依頼される方がほとんどだと思います。

ただし、抹消登記をし忘れたまま時間が経過し、所有者の方が亡くなってしまうケースもあります。

そういった場合はすぐに抹消登記をすることはできず、まずは不動産の所有者を相続人名義にしてから抹消登記を行う必要があります。

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つまり、以下のような感じです。

所有者が死亡した場合の抵当権抹消

1.不動産の名義変更(相続登記)

2.新たな名義人が担保抹消登記を申請(抵当権抹消)

実際は返済し終わっているのに、登記上は担保が付いたままである場合は、お近くの司法書士にご相談されることをお勧めします。

次は、売買契約締結後に売主が死亡してしまった場合の売買登記の話です。

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この場合、原則論では主の相続人名義に変更をしてから買主名義に変更する必要がありそうな気がします。

つまり、相続登記と売買登記の2つの登記手続きをおこなうということです。

しかし、本来であれば、亡くなった売主から名義変更できていたケースなので、こういった場合は亡くなった売主から直接、買主に名義変更できます。

そうしないと登記手続きに伴う登録免許税を二重に支払うことになってしまうからです。

ちなみに、相続登記の登録免許税は土地の評価額が1000万円であれば4万円です。

つまり、評価額の1000分の4に相当する登録免許税を節約できるということになります。

売主はすでに死亡しているので、登記義務者は亡くなった相続人全員となります。

書類としては、相続人の戸籍謄本等一式と相続人全員の印鑑証明書が必要なので、売主が生きている間に名義変更しておいた場合に比べてハードルが上がります。

場合によっては、書類の提出をしてくれない相続人が出てくることも考えられ、そういった場合は最終的には調停もしくは裁判をする必要があります。

よって、売買などをした場合は、速やかに登記上の名義も変更しておくことをおススメします。

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