成年後見制度は、身体に障害を持っていても利用することはできません。

では、どんな場合に利用できるかを以下に書いておきます。

1. 加齢による脳の老化

⇒ 認知症

2. 生まれながらに脳に何らかの障害がある、あるいは子供の頃の病気などで脳に障害を受けた

⇒ 知的障害者

3. 脳梗塞、交通事故などで脳に損傷を受けた

⇒ 高次脳機能障害

4. 社会的ストレスなどで精神が不安定になった場合

⇒ 統合失調症

以上のような精神障害を患っている場合に成年後見制度を利用することができます。

成年後見を利用できるケース であるのかどうかを知りたい場合は、医師に診断してもらい、家庭裁判所に申し立てをする際は、成年後見専用の医師の診断書を添付することになります。

家庭裁判所で選ばれた後見人には、法律行為の代理権が与えられます。

ここでいう法律行為というのは、たとえば訪問販売などでの売買契約が挙げられます。

後見人を付けておけば、認知症の被後見人が訪問販売で100万円もする布団を買ってしまっても、あとから後見人が取り消すことができます。

しかし、後見人といっても、すべての行為に代理権 があるわけではありません。

たとえば、

1. 婚姻

2. 養子縁組

3. 遺言

などは、後見人が本人に代理しておこなうことはできません。

また、本人がスーパーで買い物をしても、そういった日常生活に関する法律行為は後見人であっても取り消すことはできません。

このように、本人の「一身専属的な行為」や「日常生活にかかわる行為」には、後見人の代理権は及びません。

なお、成年後見の利用条件に該当しないような場合(目が足や不自由だったりにして、外出するのが通常の方よりも困難であるようなケース)に、第三者に色々頼めたら助かります。

そのような場合、個別の行為ごとに委任契約を取り交わして、第三者にお願いするのもいいのですが、それではいちいち面倒なので、あらかじめ一定の行為の代理権を与えることもできます。

そういった委任契約を財産管理委任契約といいます。

この契約は、成年後見のように裁判所が監督するわけではありませんので、十分に信頼できる人に委任することが大切です。

また、契約書を作成する際も、あとあとのトラブルを考えて、公正証書で作成しておいた方がよいでしょう。

財産管理委任契約では、本人の意思を客観的に証明できるので、さまざまな契約や手続を代行することができ、結果として本人の財産を守れるといったメリットがあります。

なお、家族であっても、きちんと契約書を作成しておくのがよいと思います。

家族の方が、いざ金銭トラブルになると、泥沼の争いになりやすいですし、子供にとっても契約書があった方が堂々と親の世話をすることができます。

親のお金を使い込んでいる子供がいた場合、他の親族や第三者に財産管理を任せることで、その子供をけん制でき、それが結果的に本人の財産を守ることにつながります。

また、成年後見制度の中には任意後見というものがあります。

成年後見と何が違うのかといいますと、成年後見がすでに精神障害を患っている場合の手続きに対し、任意後見は将来、精神障害を患った場合に備えて、あらかじめ意中の人を後見人に指定しておく手続きです。

任意後見の利用件数は、まだそれほど多くはありませんが、今後の高齢化社会を見据えれば、その需要も増えてくるのではないかと思われます。

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