相続登記の諸問題

不動産の登記名義人が死亡した場合には、なるべく早く相続登記をしておくのが望ましいと言われています。

 

なぜかというと、相続登記自体に期限がないことをいいことに、そのまま亡くなった者の名義に放置しておくと、その間に第2、第3の相続が発生しまうおそれがあるからです。

 

第2、第3の相続が発生すると何がまずいかというと、それだけ相続人が増えてしまい、当初であれば簡単にまとまっていたであろう遺産分割協議も相続人が増えてまとまらなくなってしまうからです。

 

また、遺産分割によって、もともとの法定相続分を上回る権利を取得したような場合、それを第三者に主張するには登記をしておく必要があるので、その点からも速やかな名義変更が望ましいといえます。

 

そこで、今回は相続による所有権移転登記にまつわる諸問題をみていきます。

 

まず、登記上の所有者が氏名や住所を変更していたにもかかわらず、その変更登記をしないまま亡くなってしまった場合、

 

氏名や住所を変更したうえでないと相続による名義変更登記ができないかどうかですが、これについては亡くなった所有者の名義変更を経由せずにダイレクトに相続人名義に変更することが可能です。

 

ただし、亡くなった者の氏名等が登記上の記録と違うと同一性の判断ができないので、こういった場合は住民票の除票等を添付して同一性を証明する必要があります。

 

実際に登記の申請をする際の注意点ですが、複数の相続人のうちの1人が、自分の相続分についてだけ所有権移転登記を申請したり、複数の相続人全員が各自の相続分のみについて別々に登記の申請をすることは認められていません。

 

これを認めてしまうと登記上、被相続人と特定の相続人との間に共有関係が存在しているかのような誤解を与えてしまうからで、これは他の相続人の同意を得ておこなっても同様です。

 

これに対して、遺産分割や相続放棄もしくは特別受益に該当する等して、特定の相続人が当該不動産の全てを一人で取得した場合には、その相続人のみで名義変更の申請が可能です。

 

また、複数の相続人のうちの1人が、相続人全員のために相続登記を申請することは認められています。

 

これは、民法252条ただし書きの共有物に関する保存行為に該当するからです。

 

次に、相続登記に添付する書面についてみていきます。

 

相続が発生したことを証明するには、登記上の所有者が亡くなったことがわかる戸籍謄本を添付しなければいけないとされていますが、これについては作成後3ヶ月以内であることは要しません。

 

ただし、実務上はあまりに古いと記載内容に変更がある可能性もあるので、法務局から新しい戸籍と差し換えるように言われる可能性はあります。

 

これに対して、除籍謄本等はその記載内容に変更が生じることがないので、たとえ何年前のものであってもよいとされています。

 

また、除籍謄本等が戦災や火災で焼失してしまっている場合には、その旨の市区町村長の証明書と「他に相続人はいない」旨の相続人全員の証明書を用意しなければいけません(この場合の相続人全員には相続放棄をした者も含まれます)。

 

ただし、市区町村長の証明書と過去帳に基づき、当該相続人が死亡し、かつ、その者に子がいなかったことを証明できる寺の証明書があれば、相続人の証明書は不要とされています。

 

ところで、相続登記の際に登記上の名義人と申請書に記載された被相続人の同一性を判断する際は、まず、登記上の住所と申請書に添付されている被相続人の戸籍の本籍地が合致しているかどうかをみます。

 

もし、ここが異なっていると同一性の判断ができないので、別途、被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票を付ける必要があります。

 

相続人の中に欠格に該当する者がいる場合、欠格者自身が作成した欠格事由がある旨の証明書もしくは確定判決の謄本を添付する必要がありますが、廃除の場合はその旨が戸籍に記載されるので、別途、廃除の審判書を添付する必要はありません。

 

特別受益に該当する者がいる場合には、その者が作成した証明書に実印を押印し、印鑑証明書を添付しなければいけません。

 

ただし、被相続人が亡くなる前に作成された特別受益の証明書は無効になるので注意が必要です。

 

また、名義変更をしない間に特別受益者が亡くなってしまった場合、特別受益者の相続人全員が作成した証明書に印鑑証明書を付ける必要がありますが、

 

もし、特別受益者が生存中に証明書を作成していたのであれば、たとえ特別受益者が死亡した後でもその証明書を添付して申請することは可能です。

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