会社の本店移転

会社が本店移転した場合の手続きについて解説します。

そもそも、会社の定款には会社の本店所在地を記載しなければいけません。

本店所在地は本店所在場所とは異なり、番地までの特定を要せず、市区町村までの記載でOKです。

具体的には、「当会社の本店は千葉市に置く」といったように定めておきます。

会社の本店を同じ市内で移転するのであれば、本店所在地内で変更にすぎませんので、定款を変更する必要はありません。

よって、取締役会で新たな本店所在場所を決定すればOKです。

これに対して、もし、違う市に移転するのであれば定款を変更しなければいけませんが、定款を変更するには株主総会を開催する必要があるので、取締役会議事録の他に株主総会議事録も必要になります。

なお、違う市に移転する場合は、法務局の管轄が変わることもあります。

つまり、本店移転には以下の3パターンが考えられます。

1. 同一市町村内での移転

2. 他市町村への移転 ※登記所は同じ

3. 他市町村への移転 ※登記所が異なる

他市町村への移転でも登記所が同じであれば、特に手続き上も難しいことはありませんが、3.の異なる登記所への本店移転の場合は特有の注意点があります。

それは、異なる登記所へ本店移転した場合、新所在地における登記の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければいけないというところです。

ここでいう「経由」とはどういうことかといえば、旧所在と新所在地における登記の申請を同時にしなければいけないという意味です。

具体的には、旧所在地の法務局に、旧所在地における登記の申請書と新所在地における登記の申請書を一緒にして提出すればOKです。

つまり、新所在地の法務局へ申請書を提出しなくても、旧所在地の法務局に一括して申請書を提出しておけば、旧所在地の法務局が新所在地の法務局に申請書を回しておいてくれるわけです。

ただし、新所在地における登記申請では、司法書士へ委任した場合の委任状を除き、他の書面は一切添付する必要はありません。

そして、新所在地を管轄する法務局は、旧所在地の法務局から書類が送られて来たら、本店移転の登記手続きをしたうえで、すぐにその旨を旧所在地の法務局に通知し、最後に旧所在地の法務局でも本店移転の登記を実行します。

なぜ、こういった同時申請が要求されているかですが、もし、旧所在地においてのみ本店移転登記をしてのに、新所在地において本店移転の登記を実行しなかったとすると、会社が現実に存在するのに当該会社の登記簿がないという事態に陥ってしまうからです。

そのため、そういった現実と矛盾した登記をできるのを防止するために、旧所在地と新所在地の登記申請を同時にするように要求しているわけです。

よって、もし、同時申請されなかった場合は、要件を欠くものとして申請が却下されますので要注意です。

ただし、千葉県内においては、現在ではすべての法人登記が本局でおこなわれているので、千葉県内の会社が県内で移転するのであれば、管轄の法務局に変更はありません。

なお、他管轄への本店移転の場合は、会社の代表印も新たに届け出なければいけないので、新たな印鑑届出書を旧所在地の登記所へ申請する書類と一緒に提出しておく必要があります。

登録免許税については、旧法務局と新法務局にそれぞれ3万円なので、合計で6万円となります。

ところで、過払い金返還請求では、裁判を起こしたうえで回収することが非常に多いですが、その場合の裁判所の管轄は自分の住所地かもしくは相手業者の本店を管轄する裁判所のどちらかです。

一般的には借主の住所地の裁判所に提訴するのですが、場合によっては相手業者の本店の裁判所に提訴した方がよい場合もあります。

その場合、相手業者が本店を移転していると、当然、新たな本店を管轄する裁判所に提訴する必要があります。

あまりあることではありませんが、最近になって東京から大阪に本店移転した業者もありますので、常に最新の本店を把握しておく必要があります。

なお、当事務所では他管轄の本店移転であれば、約6万円の登録免許税等の実費込みで11万円前後でお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。

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