債務整理の選択肢|任意整理、個人再生、自己破産の特徴

債務整理の3つの選択肢とは?メリット・デメリットなどの解説

借金の返済に困った場合は、無理に返済を続けるのではなく、早めに司法書士や弁護士に相談してください。

他からの借入れで、無理に返済を続けていると徐々に借金の総額が大きくなってしまい、多少の時間稼ぎはできるかもしれませんが、最終的にはどうにもならなくなることが多いです。

よって、自分の収入だけでは返済しきれないほど借金が増えてしまった場合は、なるべく早めに債務整理をおこなった方がよいといえます。

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つまり、自転車操業に陥っている場合は、早急に司法書士や弁護士に債務整理の相談をした方がよいということです。

債務整理には3つの方法がありますが、程度の軽いものから挙げると次のような順序となります。

債務整理の選択順

  1. 任意整理( or 特定調停)
  2. 個人再生
  3. 自己破産

以上が、個人の借金整理法の代表的な3つの手続きです。

実際にどの手続きが自分に合っているのかについてはケースバイケースで、専門的な判断が必要になるので、ご自分で判断できない場合はお気軽にご相談ください。

任意整理というのは、司法書士や弁護士が借入先と個別に交渉して、分割返済の和解契約を締結する手続きのことです。

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その際は、利息制限法で引き直し計算をするのは当然で、残った借金についても基本的には無利息での分割返済となります。

たとえば、相談前の借金が100万円だった場合でも、利息制限法を超える高金利で借入れをしていたのであれば、司法書士が介入することで100万円の借金が半分の50万円に圧縮することができる場合もあります。

そして、残った50万円の借金を月1万円の50回払いで和解するといった手続きが任意整理です。

もちろん、月2万円の25回払いでも構いませんし、それ以上の返済額でも構いません。

要は、借入先が和解に応じてくれれば、どのような条件でもOKなわけです。

もし、利息制限法による引き直しの結果、過払い金が発生していることが判明した場合は、そのまま司法書士や弁護士が過払い金の回収をおこないます。

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ただし、平成20年以降に契約をしている場合は、もともと金利が利息制限法以下になっているので、元金が減ったり過払い金が発生していることはありません。

任意整理では、分割返済できるだけの安定収入が必要です。

よって、返済に回せる金額が大きければ大きいほど、任意整理が成功する可能性が高くなります。

これに対して、生活するだけで精一杯で返済に回す余裕がない場合は、任意整理を選択することはできません。

メリットデメリット
自分で債権者と交渉しなくて済む司法書士や弁護士への報酬が掛かる
利息制限法の金利で計算し直す元金のカットには応じてもらえないことが多い
過払い金が発生している場合は回収もしてもらえる強硬な債権者だと和解が成立しないことがある
原則的に和解後の返済には利息はつかない取引期間が短いと分割払いに応じない場合がある
遅延損害金をカットしてもらえることがある

司法書士や弁護士に頼まずに、裁判所に特定調停の申し立てをおこなうという選択もあります。

ただし、現在では特定調停はほとんど利用されていません。

なぜなら、費用が安いというメリット以上に、特定調停にはデメリットが多いからです。

よって、特定調停は通常の債務整理では現実的な選択肢とはいえません。

特定調停のデメリット

  • 自分で裁判所への申立書類を作成しなければいけない
  • 必ずしも調停が成立するとは限らない
  • 過払い金があっても回収まではしてもらえない
  • 調停が成立すると債務名義化するので、その後に返済が滞った場合に強制執行(差し押さえ)されるリスクがある

特定調停の申し立てを自分でおこなう必要があり、せっかく裁判所で受理されても、その後の話し合いで調停が成立する保証はありません。

また、調停がまとまらないことも少なくなく、過払い金があっても裁判所が代わりに回収してくるわけではありません。

調停が成立した場合、調停調書は確定判決などの債務名義と同じく執行力があるので、その後に返済が滞ると債権者から給与の差し押さえを受ける可能性が高いです。

よって、現在では特定調停の利用件数は激減しており、ほとんどの方が司法書士や弁護士に任意整理を依頼しています。

任意整理ができない場合に、次の選択肢となるのが個人再生です。

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個人再生は、任意整理では返済しきれないほど借金が増えてしまった場合に有効な手段です。

特に、住宅ローンを返済中で、どうしても自宅を手放したくない場合にメリットがあります。

なぜなら、個人再生では住宅ローンの返済を今までどおりに続けて、住宅ローン以外の借金を大幅に圧縮することができるからです。

たとえば、住宅ローン以外にも借金が500万円ある場合では、住宅ローンは今までどおり払いますが、それ以外の500万円の借金を個人再生をすることで100万円に圧縮することができます。

つまり、住宅ローン以外の借金を400万円もカットできるわけです。

そのうえ、残った100万円の借金も無利息での36回払いです。

毎月の住宅ローンの返済額が7万円の場合、それプラス3万円の返済で済むことになります。

個人再生では500万円までの借金は、例外もありますが基本的には100万円に圧縮されるので、その効果は絶大です。

よって、住宅ローンプラス3万円の返済をできるだけの手取収入があれば、自宅を手放さずに借金を整理できる可能性があるというわけです。

メリットデメリット
借金が原則的に5分の1になる継続して安定した収入がないと利用できない
マイホームを含む財産が処分されない手続きが非常に煩雑なので司法書士報酬も高い
借り入れの原因は問われない官報に掲載される

個人再生では、マイホーム以外の財産も処分されることはありません。

また、ギャンブルや浪費が原因で借金をしていても利用することができます。

ただし、利用するにはいろいろな条件があるので、希望したからといって誰での利用できるわけではありません。

手続きも非常に専門的なので、司法書士や弁護士への報酬も他の手続きと比べて高めです。

官報には記載されますが、基本的に同居していない家族や親族にバレる心配はまずないといえます。

最後は、究極の債務整理である自己破産です。

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自己破産は無職の場合に限った手続きではなく、普通のサラリーマンや公務員、自営業者も対象となります。

つまり、定期的な収入があっても、それでは払いきれないほどの借金がある場合に選択する手続きで、自己破産をすることで借金を帳消しにすることができるのです。

また、通常の借金であれば借入先が親戚や知人等の個人であっても対象になるので、その効果は絶大です。

メリットデメリット
すべての借金の支払い義務がなくなる税金は対象外
無職でなくても利用できる免責不許可事由がある
少額の財産(およそ20万円以下)は処分されない資格制限がある
強制執行が止まる自宅などの財産を失う
家族には影響がない官報に掲載される

ただし、税金等の支払義務まで逃れることはできませんし、養育費等の一部の債権(これを非免責債権といいます)については、自己破産の対象とはなりません。

また、お金を借りた原因がパチンコや競馬等のギャンブルのためであったり、高額なブランド品を購入するための、いわゆる浪費のためであるような場合は、免責が認められない可能性があります。

こういったギャンブルや浪費等の行為は、破産法が規定している免責不許可事由に該当するので、形式的には自己破産を申し立てても免責が認められないことにはなっています。

ただ、実際上は、裁判所も形式的に免責不許可事由があるからといって、免責不許可にしたのでは何の解決にもならないことは十分に分かっているので、裁判所の裁量で免責になることの方が圧倒的に多いです。

よって、どのような原因で借入れをしたのであっても、実際に返済していくことが不可能であれば、自己破産の申立てをせざるを得ず、そのような場合であっても、結果的には免責になる可能性は十分にあるといえます。

警備員や保険外交員等の仕事には就けませんが、これも免責決定までの数ヶ月だけで、それ以降は資格制限はありません。

自宅などの大きな財産は処分されますが、およそ20万円以下の自動車やその他財産は処分されないことが多いです。

官報には掲載されますが、家族が連帯保証人になっていない限り、自己破産をしても悪影響はありません。

よって、どうしても返すことができない場合は、自己破産を選択して人生をリスタートさせることができます。

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