債権譲渡の登記

債権には譲渡性がありますので、基本的に債権は譲り渡すことができます。

ただし、中には譲渡禁止特約が付いているものもあるので、その場合は譲渡することはできません。

なお、有効に債権が譲渡された場合は、その債権は同一性を維持したまま第三者へ移転することになります。

では、どうすれば債権を譲渡することができるのかでありますが、債権者である譲渡人と譲受人との間の債権譲渡契約によって、すなわち当事者間の合意によって債権が移転します。

次に、債権を譲渡した場合に、債務者に対して、債権を譲渡したことを主張する(これを「対抗要件」といいます)にはどうすればよいのでしょうか。

これについては、民法に規定があり、債務者に対する対抗要件は、債務者に対する通知または承諾と規定されています。

なぜ、債務者への通知もしくは承諾が必要かというと、債権譲渡は債務者の関与がなくても、譲渡人と譲受人との合意のみで有効におこなうことができるため、債権が譲渡された事実を債務者に知らせて、債務者が二重払い等をすることによって不利益を受けることがないようにする必要があるからです。

次は、債権譲渡を債務者以外の第三者に対して主張するにはどうすれば良いかという点ですが、これは原則として確定日付ある証書によって債務者に通知するか、もしくは債務者の承諾を得る必要があります。

なぜなら、債権が二重譲渡されたり、その債権が差押された場合等、法的に両立できない者の間における優劣を、確定日付ある証書によって時間的先後を明らかにする必要があるからです。

なお、確定日付ある証書を作成するには、公証人役場で確定日付をつけてもらうか、配達証明付の内容証明郵便でおこなう必要があります。

これにより、その書類があとから日付を偽って作成されたものではなく、本当にその日付で作成されたものであることが証明されるわけです。

ところで、平成17年に民法が一部改正され、債権譲渡の対抗要件に関する特例法が施行されています。

具体的には、債権譲渡の第三者に対する対抗要件である確定日付ある証書による通知の他に、法務局に債権譲渡登記をすることによっても対抗要件を具備することができるようにしました。

ただし、特例法により登記できる債権は無制限ではなく、法人がおこなう金銭債権の譲渡のみが対象となります。

つまり、個人間の債権譲渡については、特例法の対象外なので債権譲渡登記を利用することはできず、従来による方法である確定日付ある証書によって対抗要件を備えなければいけません。

また、法人には制限はないので、株式会社や有限会社、合同会社のみならず、社団法人や財団法人、NPO法人等も含まれます。

なお、譲渡人が法人であれば適用対象となるので、譲受人は個人であっても構いません。

譲渡原因についても特に制限はないので、売買、贈与、営業譲渡、代物弁済、交換、現物出資等でもよく、また、担保目的の譲渡(これを「債権譲渡担保」といいます)でも構いません。

ところで、債権譲渡登記の対象が金銭債権に限定されている理由ですが、企業が債権を譲渡して資金調達を図る場合の債権は実務上、金銭債権に限定されているので、他の債権を債権譲渡登記の対象にする必要性がないからです。

よって、金銭債権であれば個別債権に限られず、集合債権でも登記可能です。

債権譲渡登記が完了すれば、債務者以外の第三者に対する対抗要件として、確定日付通知があったものとみなされます。

なお、登記された日付が確定日付となります。

また、債権譲渡登記では、登記年月日のみならず登記時刻も記録されるので、これにより登記された時間的先後が明らかとなるので、もし、債権譲渡登記が同日で競合しても早い時間に登記された方が優先されることになります。

ところで、債権譲渡登記の場合、債務者が登記されたことを知ることができないので、債務者に対する対抗要件を備えるためには、譲渡人もしくは譲受人から債務者に登記事項証明書を交付することで債権譲渡登記をしたことを通知するか、もしくは債務者が承諾する必要があります。

債権譲渡の通知をおこなうものは、民法上では譲渡人に限定されています。

これは自称譲受人から虚偽の通知がなされることを防止するためですが、債権譲渡登記では、登記日時や登記内容を偽ることはできないので、譲渡人からだけでなく譲受人からの通知でもよいことになりました。

なお、今のところ債権譲渡登記をおこなっているのは東京法務局のみです。

よって、千葉に本店がある会社が債権譲渡登記をしようとしても、申請先は千葉地方法務局ではありませんのでご注意ください。

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