強制競売の申立て手続き

不動産の強制競売を申し立てるには、裁判所に申立書を提出する必要がありますが、この際、担保不動産の競売申立てと区別するために、標題は不動産強制競売申立書とします。

 

添付書類の一つとして、公課証明書があります。

 

公課証明書を債権者が取得するにしても、基本的に役場は秘密保持の関係から、所有者本人もしくは本人の委任状を提出しないと発行しないのが原則です。

 

よって、強制競売の申立書の写し等を提出して事情を説明し、もし、それ以外にも求められた書類があれば提示するなどして、証明書の発行を受ける必要があります。

 

この他に、公図、案内図、債務者の住民票の写し等を提出します。

 

また、強制競売の申し立てでは、債権金額の1000分の4に当たる金額を登録免許税として納める必要があります。

 

もし、対象となる不動産が別の法務局の管轄である場合、裁判所は他の登記所へも差押登記の嘱託をすることになりますが、その場合の登録免許税は不動産1個につき1500円で済みます。

 

この際、現金を国の収納機関である日本銀行やその代理店等に納付し、その領収書を裁判所に提出するか、収入印紙で裁判所に納入することもできます。

 

これ以外の費用としては、不動産の評価や現況調査等の執行手続きにかかる費用を納める必要があります。

 

金額については、裁判所によって異なるので、事前に確認しておく必要がありますが、一般的には60万円以上であることが多いです。

 

一般的に、貸金業者が判決等を得て、その債務者が所有する不動産に対して、強制競売の申し立てをしてくることが考えられますが、申し立てをするには少なくとも60万円以上の費用がかかるので、貸金業者が有する債権額がそれを下回るか同等である場合、費用対効果の観点からそうやすやすと不動産に対して強制執行をしてくるとは思えません。

 

なぜなら、強制競売の申し立てをしても、必ずしも買受人が現れるというわけではなく、もし、競売が不調に終われば、裁判所に収めた予納金は返却されないからです。

 

よって、債権者側からしてみても、少なくとも債権額が100万円を超えるような場合でないと、不動産に対する強制執行というのは躊躇せざるを得ない手続きではないかと思われます。

 

とはいえ、債権額が少額であっても、強制競売をすれば確実に買受人が現れ、債権全額を回収できる見込みが高いという場合であれば、強制競売をしてくることは十分考えられます。

 

次は、申し立て後の段階となりますが、申立書に不備がなく、予納金等の支払いが完了すれば、裁判所から強制競売開始決定が出されます。

 

この決定では、債務者が所有する不動産を差し押さえる旨が記載されていますが、差押えの効力発生時は開始決定が債務者に送達されたときもしくは差押えの登記がされたときのいずれか早い方ですが、通常は、債務者による目的不動産の処分を避けるために差押の登記を法務局に嘱託するのが先です。

 

差押えがされると、仮に差押登記後に所有権移転登記や抵当権等の担保権設定登記がされても、それを差押債権者に対抗することできません。

 

なお、差押登記後に強制競売開始決定通知が裁判所から債務者に通知されます。

 

もし、債務者が転居先不明等で送達できない場合は、債権者は裁判所に対して、公示送達の申し立てをすることになります。

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