個人再生におけるサラリーマンと自営業者の違い

借金を整理する方法の一つに個人再生というものがあります。

個人再生には2種類あり、一つは小規模個人再生で、もう一つが給与所得者等再生です。

一言でいえば、小規模個人再生の利用者は自営業者、給与所得者等再生の利用者はサラリーマンということになります。

もちろん、自営業者やサラリーマンに限定されているわけではないので、あくまでも代表例として挙げただけです。

では、もう少し詳しく個人再生を利用できる者についてみていきたいと思います。

まず、小規模個人再生ですが、条文では「将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込み」が条件とされています。

具体的には、個人で美容室や喫茶店等を経営していて日銭が入ってくる事業主は該当します。

また、日銭が入ってこなくても、工場や問屋等のように、継続的な稼働をしている事業主もOKです。

もちろん、農業者、漁業者、林業者等も該当しますが、これらの場合、季節等によって収入が大幅に変動する可能性があり、その辺が問題となります。

なぜなら、個人再生では、3ヶ月に1回の割合で返済をする必要があるので、もし、3ヶ月の期間内に収入が見込めないと、債権者への返済に支障が出る恐れがあるからです。

よって、上記のような事業主であっても、3ヶ月に1回以上の割合で収入が得られる見込みであれば、個人再生の利用条件を満たしますが、3ヶ月以上無収入の状態が続く季節があるような場合には、再生計画が認可されないおそれがあります。

ただし、たとえ3ヶ月以上無収入が続く恐れがあっても、収入がある時にその分を積み立てておくなどして、結果的に1年を通して3ヶ月に1回の返済が可能であれば、再生計画が認可される可能性はあると思われます。

つまり、債務者の過去の収入実績等も考慮して、年間を通して再生計画の実施に支障をきたさない程度の収入がある場合には、その他の事情も考慮した上で裁判所が再生計画を認可するかどうかを判断するということになります。

なお、失業中の者であっても、すでに就職先が決まっていて、近い将来、安定収入を得られる見込みが高い場合には、個人再生の利用条件を満たす場合もあり得ます。

仮に、失業保険をもらっていたとしても、再生計画が認可された後は最低でも3年の返済が続きますので、それまでずっと失業保険をもらうことはできないため、利用条件は満たしません。

また、専業主婦の場合、夫がたとえ高収入をもらっていて、その収入の中から妻の借金を返せるだけの余裕があったとしても、個人再生はあくまでも債務者本人の収入状況を基本に考える手続なので、妻に一切の収入がなければ利用条件は満たしません。

次に、給与所得者等再生ができる者の具体例を見ていきます。

まず、サラリーマンや公務員等の給与所得者が該当しますが、給与所得者であっても年収額の変動幅が小さいことが条件です。

では、どの程度の変動であれば許されるのかですが、これについては明文での規定はありません。

しかし、実務上は過去2年間の年収ベースで5分の1(20%以内)程度の変動幅であれば許容されています。

兼業農家については、その収入のほとんどが給与所得で、兼業事業による収入を合算しても変動幅が小さい場合には給与所得者等再生を利用できると思われます。

これに対して、兼業事業乳の収入がある程度の割合を占める場合や、それぞれの収入を合算すると変動の幅が大きくなってしまう場合には、給与所得者等再生には該当せず、小規模個人再生を利用することになると思われます。

年金生活者については、その収入は安定しているといえるため、給与所得者等再生を利用することができます。

なお、ここでは詳しく解説しませんが、給与所得者等再生では債権者の反対の影響を受けない反面、可処分所得要件というのがあり、それにより小規模個人再生を選択した場合よりも、実際の返済額が大きくなってしまうことがあります。

そのため、給与所得者に該当する場合でもあっても、認可後の返済総額を減らすために、債権者からの反対が見込まれない場合には、あえて小規模個人再生を選択することは珍しくありません。

実際に自分がどちらを選択した方がよいかについては、専門的知識が必要になるので、お気軽にご相談ください。

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