成年後見と賃貸借契約

成年後見、保佐、補助と賃貸借契約の締結をみていきます。

 

後見では、日常生活に関する行為を除き、成年後見人は本人の行為を取り消すことが可能です。

 

よって、本人が勝手にした賃貸借契約をあとから後見人が取り消すことができますが、これは後見人に全面的な財産管理権、代理権があるからです。

 

これに対し、保佐の場合は、賃貸借契約の期間の長短によって効力に違いが出てきます。

 

すなわち、民法602条で定めた期間を超えた、いわゆる長期賃貸借契約では保佐人の同意もしくはこれに代わる家庭裁判所の許可が必要とされます。

 

よって、これらを得ることなく、本人が勝手に長期賃貸借契約を締結しても、保佐人が取り消すことが可能となります。

 

なお、建物であれば3年、土地であれば5年を超える場合が長期賃貸借となります。

 

反面、短期賃貸借であれば保佐人の同意は不要ですが、家庭裁判所の審判により、短期賃貸借にも保佐人の同意を要求すること自体は可能です。

 

つまり、保佐人には原則として代理権はありませんが、特定の法律行為について代理権を付与することは可能なので、

 

あらかじめ審判によって保佐人に賃貸借契約の代理権が与えられていれば、保佐人が本人の代理人として賃貸借契約を締結することできます。

 

最後は、補助ですが、この場合、本人は原則的に完全な行為能力を有しますので、期間の長短に関わらず、本人自ら賃貸借契約を締結することが可能です。

 

しかし、家庭裁判所は民法13条1項所定の行為の一部につき、補助人の同意を必要とすることができますので、

 

いわゆる長期賃貸借契約であれば家庭裁判所の審判によって、補助人の同意を要件とすることができますが、

 

短期賃貸借については、たとえ審判によっても補助人の同意を要件とすることはできません。

 

つまり、保佐人も補助人も原則的には代理権を有しませんが、家庭裁判所が特定の法律行為について代理権を付与することは可能というわけです。

 

なお、賃貸人の立場からすると、更新拒絶や契約解除の通知を誰にしたらよいかが問題となりますが、

 

民法98条では、意思表示の相手方が成年被後見人のときは、その意思表示を相手方に対抗できないと規定されているので、

 

賃借人が被後見人であれば、代理人である後見人に更新拒絶や契約解除の通知をする必要があります。

 

これに対して、賃借人が被保佐人や被補助人であれば、本人に通知をすれば足りますが、後々のトラブルを避けるためにも保佐人や補助人に通知するのが安全です。

 

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