特別養子

養子には2種類あり、一般的に多く利用されているのは普通養子です。

 

普通養子の場合は、養子となっても実の親との親子関係はそのまま継続になるので、結果として養親と実親との二重の親子関係が発生します。

 

これに対して、特別養子では、法律上は実親との関係を消滅させたうえで、養親との間に実の親と同様な関係を形成することになります。

 

普通養子では、実の親との関係も続くので、結果として養親子関係が不安定になることは珍しくなく、相続や扶養をめぐってトラブルが起きることも少なくありません。

 

そこで、子供の幸せを最重視して、実の親との関係を法律上断ち切って、不要なトラブルを未然に防ぐために特別養子という制度が設けられました。

 

特別養子では、縁組の成立により、養子は養親の嫡出子となりますが、ここまでは普通養子となんら異なるところはありません。

 

しかし、特別養子が普通養子と違うのは上述のとおり、特別養子の縁組が成立したときから、特別養子と実の両親およびその血族との親族関係が終了する点です。

 

戸籍の記載についても普通養子と特別養子では異なります。

 

普通養子では、実の親との親子関係も存続しますので、戸籍上も一見しただけで養子であることが明らかな記載となります。

 

これに対して、特別養子では縁組が成立すると、原則として実の親の本籍地に特別養子の単身戸籍が編成されます(氏は養親の氏)。

 

その後、単身戸籍から養親の戸籍に入籍し、これにより単身戸籍が除籍されることになります。

 

続柄の記載も、普通養子では養子と記載されますが、特別養子では長男とか次男との記載になり、一見しただけでは特別養子であることが分からないように配慮されています。

 

次に、どのような場合に特別養子が認められるかをみていきます。

 

普通養子では、原則的に養親と養子の合意で済みますが、特別養子では家庭裁判所が関与します。

 

管轄となる裁判所は養親となる者の住所地の家庭裁判所です。

 

家庭裁判所が特別養子を成立させるには条件があり、それは6ヶ月以上の期間監護です。

 

つまり、養親となる者が養子となる者を実際に6ヶ月以上監護し、家庭裁判所はその状況を考慮したうえで特別養子を認めるかどうかを判断しなければいけません。

 

また、養親となる者は結婚していなければならず、夫婦の片方だけで特別養子の申し立てをすることはできません。

 

年齢も25歳以上でなければいけないとされていますが、一方が25歳以上であれば、もう一方は20歳以上であっても良いとされています。

 

養子にも年齢制限があり、6歳未満の子でないと特別養子となることはできません。

 

これは、子供の年齢が6歳以上になると、実の親子と同様の親子関係を築き上げるのが困難であると考えられているからです。

 

また、特別養子では実の両親との親子関係が法律上消滅してしまうので、実の両親の同意も必要とされています。

 

最後に、離縁についてです。

 

普通養子では、当事者の合意で離縁することができます。

 

しかし、特別養子では原則的に離縁することはできません。

 

特別養子の目的は、子の利益のために実の親子関係と同じ関係を築く点にあります。

 

実の親子の縁は切っても切れないものですから、特別養子となった以上は基本的に離縁することを認めていないわけです。

 

しかし、例外もあり以下に該当する場合には家庭裁判所が離縁を認めることがあります。

 

1. 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する行為

 

2. 実父母が相当の監護をすることができる場合

 

以上の2つの要件を満たし、養子の利益のために特に必要があると認められれば、養子、実父母の申し立てによって、家庭裁判所が離縁を認めることがあります。

 

このように特別養子は、実の親子関係を法律上消滅させることになるので、その成立および離縁のいずれにおいても厳しいハードルがあるというわけです。

 

なお、普通養子であっても特別養子であっても、仮に養親が過払い金返還請求権を行使しないまま死亡した場合、養子がその権利を相続し、行使することは問題ありません。

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