社団法人とNPO法人

これまでは、非営利活動をおこなう団体が法人格を取得しようとする場合、事業の目的に公益性があることが条件でした。

しかし、事業の目的に公益性が認められるかどうかの認定基準が明確でなかったため、多くの団体が法人格の取得を諦めていました。

そこで、事業に公益目的がない場合でも法人格を取得できるように制度変更されました。

その結果、一般社団法人や一般財団法人の設立が以前と比べて容易となりました。

なお、これらの法人の中で公益性が認められた法人は、別途、公益社団法人、公益財団法人へと移行することが可能となりました。

今回は、一般社団法人をNPO法人と比べながらみていきます。

一般社団法人は上記のとおり、事業目的に公益性がなくても設立できるため公益法人ではありません。

その分、設立手続きは簡単で、設立者が作成した定款を公証人役場で認証してもらい、設立登記の手続きをすれば一般社団法人を立ち上げることが可能です。

同じ非営利型の法人にNPO法人がありますが、その設立手続は定款の作成、所轄庁の認証、設立登記が必要です。

NPO法人の設立には所轄庁の認証が必要になるため、設立に時間がかかります。

これに対して、一般社団法人であれば所轄庁の認証が不要のため迅速に設立できます。

また、一般社団法人では設立行為者は最低社員2名で済みますが、NPO法人は10名以上の社員が必要になるので、この点でもNPOの方が大変です。

よって、比較的小規模で簡易に設立し、自由に活動をしたいのであれば、設立後も所轄庁の監督も報告義務もない一般社団法人の方がよいといえます。

一般社団法人では、最低でも1人以上の理事を置かなければいけませんが、拠出する財産の価額に規定はありません。

設立手続きをまとめると以下のようになります。

1. 定款の作成

2. 定款の認証

3. 設立時役員等の選任

4. 設立手続きの調査

5. 設立登記

3.の設立時役員等の選任ですが、定款で定めておけば、別途選任手続きは不要です。

なお、設立時の役員には、理事、監事、会計監査人がいますが、監事と会計監査人は任意なので、最低1人以上の理事を定めておけばOKです。

これに対し、もし、理事会を設置したいのであれば、最低でも3人以上の理事を選任する必要があります。

4.の設立手続きの調査とは、設立時の社員が定款の作成、認証、主たる事務所の確保等の手続きをおこなうことになりますが、これらの手続きが法令もしくは定款に違反していないかどうかを設立時の理事や監事が調査することです。

ただし、この調査報告書自体は、設立登記の添付書面とはなっていません。

調査報告書が添付書面とはなっていなくても、もし、調査を怠ったことにより、法人のみならず第三者にも損害を与えた場合には、理事や監事などの役員は、その第三者に対しても損害賠償責任を負わなければいけませんので調査をしなくてもいいということになりません。

最後になりますが、公益社団法人を設立したいと思っても、いきなり設立することはできません。

その場合、まずは一般社団法人を設立し、それから所轄庁の認定を受けなければなりませんので、かなりハードルは高いと思っていいでしょう。

いずれにせよ、将来的に公益社団法人への移行を目指すにしても、まずは一般社団法人からスタートとさせなければいけません。

一般社団法人の作り方を詳しくみていきます。

まず、株式会社は1人でも設立できますが、社団法人は最低でも2名以上の社員が必要です。

社員とは、社団法人の構成員ですが、個人のみならず法人であってもなることができます。

呼び名は社員ですが、会社の従業員という意味の社員ではなく、会社でいうところの株主、つまりは社団のオーナーと思って頂いた方が良いと思われます。

社団の最高意思決定機関は社員総会であり、社員はこの社員総会に出席して議決権を行使することができます。

つまり、社員総会は株式会社でいうところの株主総会といえます。

また、社団法人では最低でも1人以上の理事を置かなければならず、理事は法人の業務執行をおこなうので、株式会社の取締役のようなものです。

もし、理事会を設置したい場合は、最低でも3人以上の理事を置く必要がありますが、株式会社の取締役会を設置するのに、最低3名以上の取締役が必要であることと同じです。

この他に、理事会の業務執行の状況や会計を監査するために監事を置くこともできますが任意で、これも株式会社の監査役と同じ考えです。

なお、理事の任期は2年で、定款でこれより短縮することはできますが、延長することはできません。

この辺は、非公開会社の株式会社の取締役の任期を10年に延長できるところと異なります。

社団法人を設立するには、定款を作成し、公証人の認証を受ける必要がありますが、通常は、定款作成時に設立時理事を選任しておきますが、もし、定款で選任しておかなくても認証後に選任することもできます。

ただし、認証後に選任する場合は、設立時社員の議決権の過半数によって選ぶ必要があります。

社団法人の設立に際しては、財産の拠出が必要ないので、株式会社でいうところの資本金のようなものはありません。

設立手続きとしては、資本金の振込みがない以外は株式会社の設立手続きと非常に似ており、社団法人は、主務官庁の許可を受けることなく登記をするだけで設立をすることができます。

つまり、定款を作成し、公証人の認証を受け、その後、法務局に設立登記を申請するという手順です。

ただ、設立登記の登録免許税が6万円で済むので、株式会社の設立より9万円ほど安く設立できます。

このように一般社団法人は、主務官庁の許可を得ずに登記だけで設立することができるので、社会的評価はその分低いといえます。

これに対して、一般社団法人から公益社団法人になることができれば、行政庁の監督を受けるので社会的信用も高くなります。

とはいえ、公益認定を受けるのは容易ではないので、まずは一般社団法人としてじっくりと実績を積む必要があります。

いずれにせよ、いきなり公益社団法人を設立することはできないので、まずは一般社団法人を設立し、地道に活動するしか公益への道はないというわけです。

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