会社設立時の定款の定め方

非公開会社で、監査役、代表取締役、取締役会非設置会社で、株券不発行会社における、募集設立の原始定款でポイントとなる点をみていきます。

まず、公告方法についてですが、旧商法では、公告する方法は定款の絶対的記載事項でした。

そのため、官報もしくは日刊新聞紙のいずれかを選択する必要がありましたが、会社法では公告方法は定款の絶対的記載事項ではなくなり、

1. 官報

2. 日刊新聞紙

3. 電子公告

の3つの方法が規定され、仮に定款で規定しなかった場合は、官報によって公告するものとされました。

次は、発行可能株式総数です。

旧商法では、授権資本枠を会社が発行する株式の総数と規定し、定款の絶対的記載事項としていましたが、会社法では発行可能株式総数となり、定款の絶対的記載事項ではなくなりました。

しかし、発起設立の場合、原子定款で定めておかないと、会社の設立登記のときまでに、発起人全員の同意を得て定款の変更をする必要があるので、実務上は原始定款に記載しておくことがほとんどです。

また、これまでどおり、設立時発行株式の総数は発行済株式の総数の4倍を超えることはできず、発行可能株式総数の4分の1を下ることはできませんが、非公開会社ではこのような制限はありません。

次は、株式の譲渡制限です。

会社法では、株式の譲渡制限を定款で定めるかどうかで、非公開会社か公開会社に分類されるため、株式の譲渡制限は非常に重要です。

また、株式の譲渡制限は登記事項でもあります。

なお、株式の譲渡制限会社(非公開会社)とは、株式の全部について譲渡を制限する会社を指します。

次は、株券の不発行です。

旧商法では、株券発行が原則でしたので、会社成立後または新株の払込期日以後遅滞なく株券を発行しなければいけませんでした。

これに対して、会社法では株券不発行が原則となり、株券を発行する場合は定款にその旨を定めなければならず、この定めは登記事項となりました。

なお、株券発行の定めは定款の相対的記載事項なので、株券不発行とした場合は定款に記載する必要はありません。

しかし、実務上は、株券不発行会社でも、定款に株券不発行会社である旨を定めることがほとんどです。

次は、株主名簿記載事項の記載の請求です。

会社法では、株券不発行が原則とされたので、株主名簿の記載が正確になされるよう、名義書換請求権及びその行使が、原則として取得者と名簿上の株主またはその一般承継人との共同でなされるべきことが明文化されました。

ただし、株券不発行会社においては、法務省令で定める場合、株式取得者が単独で請求することができます。

次は、取締役の員数です。

非公開会社で取締役会非設置会社であれば、取締役は1人以上で足りますが、公開会社や非公開会社で取締役会設置会社であれば、取締役の員数は3人以上必要になります。

取締役の資格は非公開会社においては、定款で取締役を株主に限定することができますが、公開会社では定款で取締役を株主に限定することはできませんので注意が必要です。

次は、取締役の任期です。

旧商法では、株式会社の取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと法定されていましたが、会社法では、非公開会社に限り、定款に規定することで、上記の2年以内を10年以内に伸長することができるようになりました。

補欠または増員によって、通常の改選時期と異なる時期に選任された取締役は、他の取締役と改選時期がずれてしまうため、他の取締役会の任期の満了と合わせるため、定款に調整規定を設けるのが実務上の慣例です。

次は、設立に際して出資される財産の価額です。

設立に際して出資される財産の価額またはその最低額は定款の絶対的記載事項で、定款作成後は変更できません。

よって、設立に際して出資される財産の価額が変更される可能性がある場合には最低額を定めておいて、後日、その確定額を発起人全員の同意で決めることになります。

大半の中小規模の会社では、定款作成段階で出資される財産の価額は決まっていて、発起人による出資の履行が間違いない場合がほとんどであるため、実務上はその確定額を記載することになります。

次は、設立時の取締役です。

発起人はその過半数をもって、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役を選任する必要があります。

ただし、定款で設立時取締役とされた者は、出資の履行が完了したときに、設立時取締役として選任されたものとみなされるため、実務上は定款で定めておくことがほとんどです。

なお、会社法では、取締役が1人でも登記上に代表取締役が記載されるので、実務上は、設立時取締役及び設立時代表取締役と定めることも多いです。

取締役が2人以上いる場合は、代表取締役を定めない限り、取締役が各自会社の代表権を有しますが、実務上はは代表取締役を定めている場合がほとんどです。

また、非取締役会設置会社で、取締役が2人以上いる場合、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数で会社の業務を決定します。

次は、設立に際して発行する株式です。

発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数は、株式会社の設立登記事項です。

よって、非取締役会設置会社のような小規模な会社の場合、定款作成時に設立時発行株式数が決まっていれば、実務上は定款上に記載しておくことが多いです。

もし、設立時発行株式数が変わる可能性があるような場合は、定款に記載せずに、設立登記の申請の時までに発起人全員の同意で決めることができます。

なお、発行価額の記載は任意的記載事項ですが、実務上は設立時発行株式に関する事項を明確にするために記載することがほとんどです。

次は、発起人の氏名、住所および割当てを受ける設立時発行株式の数およびその払込金額です。

これは、旧商法の設立に際して発行する株式の総数が、会社法では、設立時発行株式の数と変更されました。

なお、発起人の住所、氏名は印鑑証明書のとおり記載する必要があります。

最後ですが、定款には発起人の全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。

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