個人再生の特徴と費用、住宅ローン特則について

借金を整理する方法の一つに個人再生という手続きがあり、一言でいえば借金を大幅に圧縮する手続きといえます。

では、具体的にどのくらい圧縮できるのかですが、基本的に500万円までの借金であれば、その借金が100万円になります。

つまり、残りの400万円の借金の支払義務がなくなるわけです。

ただし、最低でも100万円は返済しなければいけないので、借金の総額が150万円だと50万円の圧縮になるだけです。

よって、借金の総額がおよそ200万円以上ないと利用するメリットがないあまりないかもしれません。

もし、最低返済額である100万円を返済すると決まった場合、それを一括で返済するのではなく、3ヶ月に1回のペースで返済すればOKです。

つまり、毎月返済するわけではなく、3ヶ月毎に3ヶ月分をまとめて返済するわけです。

これは、個人再生では多数の債権者への返済が前提になった手続きなので、たとえば10社から借金をしていると、毎月毎月10ヵ所に返済するのは事務手続き上も面倒ですし、振込手数料もかさむからです。

また、支払義務が残った100万円は3年の分割払いなので、一月当たりの金額は3万円弱なので、3ヶ月毎に9万円弱を各社に振り分けて返済することになります。

なお、個人再生のもう一つの大きな特徴は、住宅ローンの支払いが終わっていないマイホームを守ることができる点です。

これはどういうことかといいますと、住宅ローンの返済はそのままにして、それ以外の借金を圧縮するということです。

たとえば、住宅ローンの残りが2000万円で、それ以外の借金が500万円あったとします。

住宅ローンの返済が毎月10万円で、それ以外の借金の返済も毎月10万円の場合、一月の返済で約20万円にもなります。

手取り収入が30万円あっても、毎月20万円が返済が消えてしまうと、家族3~4人の生活を維持することはできません。

しかし、個人再生を利用することで、住宅ローン以外の返済を一月当たり3万円弱に減額することができれば、住宅ローンを支払っても毎月の返済額の合計は約13万円に抑えられます。

そうすることで、マイホームを守りながら、それ以外の借金も3年で無理なく返済することができるようになるわけです。

もちろん、個人再生は返済を続けていくことが前提の手続きなので、利用者に係属して安定した収入があることが条件となります。

よって、無職の場合は定期収入がないわけですから、個人再生の利用をすることはできず、自己破産を検討することになります。

なお、安定収入とはいっても、必ずしも公務員や正社員である必要はなく、自営業者やアルバイト等でも、総合的に判断して借金を返済できる見込みがあると裁判所が判断すれば、再生計画が認可される可能性はあります。

次に、個人再生を利用した場合の料金についてですが、大きく分けて司法書士への報酬と裁判所に収める実費に分かれます。

当事務所の報酬は、住宅ローンがない場合は税抜で25万円、住宅ローンがある場合が30万円となります。

もちろん、一括で支払う必要はありませんので、分割払いでもOKです。

なお、個人再生をした場合は、最低でも毎月3万円の返済が必要になるので、報酬の分割払いも最低3万円からとなります(金額は相談時に決定します)。

また、報酬が一定水準以下の方であれば、国が設置した法テラスを利用できる場合があります。

その場合の報酬は法テラスが一律で設定しており、約13万円となります。

この13万円が法テラスから司法書士に一括で支払われ、利用者は法テラスに毎月5000円から1万円の分割で返済していきます。

報酬以外には裁判所に収める実費として、印紙代が1万円、切手が約5000円くらいです。

あとは住宅ローンがない場合の予納金が約16万円、住宅ローンがあると約21万円です。

予納金については分割払いが認められる場合と認められない場合があり、千葉地裁管轄では裁判官次第です。

個人再生は、自己破産と同じく裁判所を使った手続きですが、自己破産と大きく異なる点は、返済することが前提の手続きというところです。

 

つまり、自己破産の目的は、借金の支払義務を帳消しにすることですが、個人再生の目的は借金の支払義務を減らすことです。

 

実際にどのくらい支払義務が減るのかというと、色々と例外はありますが、500万円までの借金であれば100万円に圧縮できます。

 

つまり、500万円の借金のうち、400万円の支払義務をカットし、残った100万円だけを払えばよくするわけです。

 

そして、この100万円の返済については、もちろん一括というわけではなく、原則的に3年かけて分割で返せばよいということになります。

 

100万円を3年かけて分割で返済すると、毎月は3万円弱になりますが、実際には毎月返す必要はなく、3ヶ月毎の返済になります。

 

では、実際にどのような場合に個人再生を利用することができるかですが、これについては個人再生が返済を条件とした手続きであることから、

 

継続して安定した収入がある人でないと利用することはできず、結果として、無職の場合には個人再生を利用することはできません。

 

また、継続して安定した収入であっても、自分の生活だけでギリギリのような場合は対象外です。

 

なぜなら、個人再生では、最低でも毎月3万円弱の返済が必要になるからです。

 

つまり、毎月3万円程度を返済に回せるだけの収入が安定して、かつ、継続して得られる見込みがある場合でないといけないわけです。

 

ところで、個人再生の最大の利用ポイントは、住宅ローンがある場合です。

 

たとえば、住宅ローン以外に借金が500万円あって、その返済が負担になり、住宅ローンも払えなくなってしまう危険がある場合に、

 

個人再生を利用することで、住宅ローンは今までどおり払うことにし、それ以外の借金を100万円に圧縮できれば、

 

毎月の返済は住宅ローン以外に3万円払えばよくなるので、結果的にマイホームを守ることができるかもしれないわけで
す。

 

もちろん、住宅ローンがない場合でも利用可能なので、単純に借金を大幅に減らしたい場合にも利用することができます。

 

また、自己破産のように借入原因が問題になるようなこともありませんし、自分の財産が処分されたり、一定の仕事に就けない等の制限もありません。

 

なお、返済額については、500万円までの借入れであれば、原則的に100万円ですが、もし、総額で100万円以上の財産を所有しているような場合は、その財産を処分する必要はありませんが、

 

少なくとも自分が保有する財産以上は返済しなければいけなくなるので、手持ち資産が多い場合は利用ができない場合があります。

次は、個人再生の住宅ローン特則についてみていきます。

 

まず、個人再生手続きにおける住宅ローン特則において、住宅資金貸付債権というのはどういった貸付けを指すのでしょうか。

一般的には、住宅ローンであればOKなわけですが、もう少し詳しくみていきますと、住宅の建設もしくは購入に必要な資金である必要があるとされています。

これには、住宅用の土地だけでなく、賃借権の取得に必要な資金も含まれます。

また、住宅金融公庫や銀行等の住宅ローンに抵当権されている場合はもちろんのこと、銀行の子会社(信用保証会社等)や信販会社が将来の求償権について抵当権を設定している場合も含まれます。

なお、住宅ローンの債権者は銀行等の金融機関に限定されていないので、民間企業の共済組合等や不動産会社、保険会社が貸し付けた住宅ローンも対象になります。

当初借りた住宅ローンからより低金利の住宅ローンへの借換えをおこなった場合でも、住宅資金として貸し付けられたものを入れ替えたに過ぎないので対象になりますが、借換え時に住宅ローン以外の借金もまとめて融資を受け、その全額について抵当権を設定しているような場合は除外されるので注意が必要です。

住宅ローンを複数の金融機関から借入れしていて、抵当権も複数ついている場合、そのすべてが対象となり、特定の一部の住宅ローンだけを住宅ローン特則から除隊することはできないとされてます。

これは、住宅ローン全部を対象にしないと、どこか一つの抵当権が実行されることで、せっかく定めた再生計画がご破算になってしまうからです。

ところで、住宅ローンといえば、一般的にはその住宅に抵当権を設定することがほとんどだと思われますが、ごく稀に住宅を担保に取らない住宅ローンというものを存在します。

そういった住宅ローンに関しては、個人再生における住宅ローン特則の適用外となります。

なぜなら、この特則は抵当権を実行されることで住宅を失ってしまうことを保護するのが目的だからです。

つまり、住宅を担保に取られていない住宅ローンであれば、抵当権の実行によって住宅を失う危険はありませんので、こういった場合の住宅ローンは他の一般債権と同じ扱いを受けることになります。

当事務所が手掛けた事件の中にも、少額の住宅ローンが無担保で貸付けされていたことがありましたが、住宅ローンであるにもかかわらず、抵当権を設定していないために、通常の一般債権と同じ扱いをしたうえで再生計画が認可されたことがありました。

なお、住宅ローン特則を利用するには、当該住宅に住宅ローン関係の抵当権以外の担保権が設定されていないことも絶対条件です。

なぜなら、住宅ローン以外の担保権者がその担保権を実行すると、再生計画で住宅資金特別条項を定めても無意味になってしまうからです。

よって、サラ金業者等の借金を担保するために住宅ローンの抵当権の後順位に根抵当権等が設定されていたり、銀行等の金融機関のおまとめローン等の抵当権が設定されている場合には住宅ローン特則を利用することはできません。

サラ金業者は登記費用を節約するために、根抵当権の仮登記を設定している場合が珍しくありませんが、たとえ仮登記であっても将来的に担保権が実行される可能性があることに変わりはないため、住宅ローン特則の利用はできないとされています。

こういった場合には、その後順位の担保権を抹消した上で個人再生の申し立てをする必要があります。

実務上でも、後順位に住宅ローン以外の抵当権等が付いているような場合、親族等の援助でなんとかその後順位の抵当権を抹消した上で、個人再生の申し立てをするということは決して珍しいことではありません。

とはいえ、後順位の担保を抹消するためには、それ相応の弁済をしなければいけないので、その弁済原資を用意できるかどうかが最大の問題となります。

ところで、税金を滞納しているために当該不動産に差押えの登記がされている場合はどうでしょうか。

そもそも、税金等の租税債権は、一般優先債権なので再生手続きとは関係なく随時返済しなければいけないものとされているので、たとえ差押登記がされていたとしても、それが理由で住宅ローン特則を利用することができないということにはなりません。

もし、当該差押登記にかかる滞納額が返せる範囲の金額であれば返済をすることで差押登記を抹消してもらうことが可能です。

これに対して、返済できる金額でない場合は、差押登記が抹消されることはないので、裁判所も将来的に住宅を失う可能性があると考え、再生計画を不認可すると考えられます。

よって、差押登記がされている場合も、現実的には抹消した上で申し立てをしないと認可決定を受けることは難しいと思われます。

手続き的にも非常に面倒なので、おそらくご自分だけで最後まで手続きをおこなうのは、なかなか難しいので、お近くの司法書士等にご相談されるのがよいと思います。

 

当事務所も今までに何十件と申し立てをしてきましたが、そのほとんどで再生計画が認可されておりますので、千葉県近郊にお住まいの方はお気軽にご相談ください。

無料相談 受付中!

無料相談

受付時間:平日9時~18時
電話番号:043-203-8336