成年後見と精神鑑定
成年後見の申し立てをした場合、家庭裁判所が後見開始の審判をするには、本人の精神状況について医師等に鑑定させなければならないと規定されています。
鑑定をする者については、医師でなければいけないわけではありませんが、現実的には多くの場合で本人の主治医によっておこなわれています。
ただし、たとえ医師であっても診療科目や本人に関する診察歴によってはふさわしくない場合もあります。
もし、申立人の方で適当な医師を用意することができない場合は、家庭裁判所が選任しますので、必ずしも自分で見つけなければいけないわけではありません。
なお、法律上は、後見もしくは保佐の場合には、原則として鑑定が必要とされていますが、実務上は、申立全体の1割程度のみ鑑定が実施されている過ぎません。
これは、本人がいわゆる植物状態にあるような場合は、鑑定をするまでもなく本人に財産管理能力がないとわかるからです。
また、鑑定が不要の場合でも、申立ての段階では必ず医師の診断書を提出しているので、たいていの場合はこれで足りているのが現状です。
そもそも、鑑定を実施した際の鑑定書の内容が、診断書とあまり違わないので、鑑定を実施するメリットがあまりないのではないかという意見もあるようです。
補助においては、もともと鑑定は原則不要とされているので、実際に鑑定が実施されるケースは後見もしくは保佐であることがほとんどです。
鑑定費用については、5万円以下で済む場合が約7割弱で、ほとんどの場合が10万円以下となっています。
鑑定期間については、半数以上が1ヶ月以内で終わっており、その多くは2ヶ月以内に終了しています。
成年後見の制度開始当初は、原則的に精神鑑定がおこなわれていましたが、施行から10年以上が経過した現在では、上記のとおり約1割でしか鑑定は行われていませんので、基本的には実施されないと思ってよいのではないかと思われます。
鑑定が不要となれば、申立てから審判までの期間が短くなるわけですが、制度開始当初は4ヶ月前後かかることが多かったですが、今では1ヶ月で審判まで至ることも珍しくありません。
よって、鑑定が実際されないようなケースでは、多くは申し立てから2ヶ月以内には審判が出ているのが現状です。
審判が早く出れば、それだけ本人の財産等を守ることができるので、鑑定の実施率の減少が審理期間の短縮にも一役買っているようです。
鑑定が実施されないとしても、成年後見の申立ての際には色々な書類を用意しなければならず、これが本人の親族等の申立人にはかなりの負担となっています。
当事務所では、申立書類作成のご依頼を5万円から受け付けていますので、自分で用意する時間がなかったり、何を用意してよいのかわからない方はお気軽にご相談ください。
また、本人の後見人になる適当な親族がいないような場合でも、本人が千葉にお住まいであれば、当事務所の司法書士が後見人に就任することも可能ですので、
本人の子どもや兄弟姉妹等が遠方に住んでいるとか、本人の近くに住んではいるけれど病気等で現実的に後見人に就任するのが難しいという場合もお気軽にご相談ください。
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