法定相続人の調査と生前の相続放棄と遺留分の放棄

相続人の調査方法や生前の相続放棄と遺留分放棄の違い

民法では、法定相続人というのを定めています。

単純な3人家族(父、母、子供)であれば、父が亡くなった場合の相続人はその妻と子の2人です。

しかし、本当にそうと言い切れるでしょうか?

言い切るためには、亡くなった父の戸籍を取ってみる必要があります。

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この場合、亡くなった最後の戸籍を1通取るだけではダメです。

つまり、相続人を確定させるためには、亡くなった父の15歳前後から亡くなるまでの連続した戸籍を見てみる必要があります。

その結果・・・「前妻との間に子供がいることが発覚!!!」なんてこともたまにあります。

よって、相続人 が誰なのかを判断するためには、亡くなった方の15歳前後から亡くなるまでのすべての戸籍が絶対に必要になるわけです。

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相続権というのは、実際に相続が開始して初めて発生します。

つまり、被相続人(亡くなった方)が、まだ生きている間は、相続権自体が発生していません。

では、この将来の相続権を、だれかに譲渡したり、放棄したりすることできるのでしょうか?

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相続権は一身専属権なので、将来の相続権を、譲渡することもできなければ、放棄することもできません。

これは、将来的には相続人 になる地位にいたとしても、実際に相続が開始するときに、相続人の地位にいるかどうかがわからないからです。

よって、被相続人が亡くなる前に相続を放棄します」といった内容の書面を書いても、被相続人の死後にあの書面は法的に無効であるといえます。

このように、将来の相続権というのは、現時点ではきわめて不安定で弱い権利なのです。

そのため、実際に相続が開始してもいないにもかかわらず、将来の相続権を譲渡したり、放棄することは認められないのです。

これに対して、遺留分の放棄は生前でも認められています。

遺留分というのは、兄弟姉妹を除く法定相続人に認められた最低限保証された遺産の取り分です。

ただし、生前に自由に遺留分の放棄を認めてしまうと、他の相続人からの圧力などで、自分の意思に反して遺留分を放棄させられてしまう懸念があります。

よって、生前の遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要とされています。

とはいえ、相続放棄とは異なり、裁判所の許可は必要ですが、遺留分に関しては生前の放棄が認められています。

しかし、どんな場合でも認められるわけではなく、「生前に被相続人からかなりの援助を受けていた」とか「相続人に安定した収入が見込まれる」等といった事情が必要です。

そういった事情もなく、家裁に申し立てをしても、おそらく許可はされないと思われます。

よって、生前にできるのは遺留分の放棄ということになりますが、それでも無条件で認められるわけではないということです。

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