地役権の設定登記

地役権とは、自分の土地の便益を高める目的で他人の土地を利用する権利のことです。

 

代表的なものに、通行地役権があります。

 

地役権は、基本的に設定契約によって成立するので、要役地の所有者と承役地の所有者との間で地役権設定契約を締結することになります。

 

なお、要役地とは地役権者の土地で他人の土地から便益を受けるもので、承役地とは地役権者以外の者の土地であって要役地の便益に供されるものです。

 

また、地役権は、他人の土地を排他的、独占的に利用するものではなく、要役地と承役地の利用の調節を目的とするものなので、

 

要役地所有者の権利行使はその必要な範囲において出来る限り承役地の利用の制限を少なくしなければならないという原則があります。

 

ただし、同一内容の地役権が前後して数個設定された場合は、前に設定されたものが後に設定されたものに優先しますが、地役権は物権なので、登記をしなければ第三者に対抗することはできません。

 

では、具体的にどのように地役権設定登記がなされるかみていきますが、登記の申請は承役地について申請します。

 

申請は地役権者を登記権利者、設定者を登記義務者とする共同申請で、権利者義務者の住所氏名を申請情報として法務局に提供する必要がありますが、地役権者の氏名住所は登記事項とはされていません。

 

これは、要役地の所有権の移転に伴い、地役権も当然に要役地の所有者に移転するからです。

 

登記原因及びその日付は、設定契約による場合であれば、契約成立した年月日設定となります。

 

必ず登記される事項としては、

 

1. 要役地

 

2. 地役権設定の目的

 

3. 地役権設定の範囲

 

なお、地役権は有償でも無償でもよく、また、存続期間を定めることもできますが、いずれも登記事項とはされておりません。

 

添付情報としては、

 

1. 登記原因証明情報

 

2. 登記義務者の登記識別情報または登記済証

 

3. 登記義務者の印鑑証明書

 

4. 地役権図面

 

5. 要役地の登記事項証明書

 

地役権図面は、承役地の一部に地役権を設定する場合に、地役権の及ぶ範囲を明確にするため提供する必要がありますが、承役地の全部について設定する場合は不要です。

 

地役権図面は、登記所備付の地積測量図との整合性を有し、地役権が存在する範囲が明確で、その範囲の地積の測量の結果が図示されているものであることを要しますが、

 

図示すべきであるのは上記の部分に限られ、その他の部分については見取り図的なもので差支えないとされていますが、作成の真正を担保するために、地役権者が署名または記名押印する必要があります。

 

また、要役地が承役地と同じ管轄であれば、要役地の登記事項証明書は不要です。

 

登録免許税は、承役地の不動産1個につき1500円となります。

 

なお、承役地の地役権設定登記が完了すると、要役地においては登記官の職権により、地役権が登記された旨の登記がなされるので、要役地を管轄する登記所に対しては、別途、地役権の設定登記を申請する必要はありません。

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