有責配偶者の離婚請求

有責配偶者からの離婚請求の可否については、民法上に明確な規定はありません。

 

そこで、最高裁判所の判決をみていく必要がありますが、戦後間もなくの頃は有責配偶者の離婚請求は認められないという法理を採用していました。

 

昭和30年代に入ると、 被告の有責の程度が大きければ離婚請求が認められるといった判決が出てきました。

 

つまり、最高裁としては

 

1. 夫婦の双方に落ち度があっても、被告の責任が大きい場合

 

2. 双方の落ち度が同程度の場合

 

3. 有責行為と婚姻破綻との間に因果関係が認められない場合

 

のようなケースであれば、有責配偶者からの離婚請求であっても許されると判示して、徐々に離婚請求拒否の法理を緩和しだしました。

 

とはいえ、婚姻破綻の原因が専ら一方当事者にあるときは、その者からの離婚請求は認めていませんでした。

 

しかし、昭和50年代に入ると、下級審判決の中には別居生活が相当な長期にわたり、家裁における調停が経由された以上は、特段の事情のない限り、離婚を認めることができるといった判決が出てきました。

 

そして、ついに最高裁は昭和62年の大法廷判決により、それまでの判例を変更し、有責配偶者からの離婚請求であっても

 

1. 夫婦の別居が相当長期間に及んでいる

 

2. 未成熟な子がいない

 

3. 離婚を認めることが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がない

 

といった事情があれば、有責配偶者からの請求という理由だけをもって、離婚請求が許されないとはいえないと判示しました。

 

この最高裁判決の後は、主に別居期間の長さが争われるようになり、平成2年の最高裁判決が一定の基準を示し、最近では10年前後、中には8~9年でも場合によっては離婚が認められています。

 

これに対し、有責配偶者ではない通常の離婚事件では、破綻認定の別居期間は5年程度なので、有責配偶者からの離婚請求はその2倍程度の別居期間が必要と考えられます。

 

また、平成6年の最高裁判決においては、たとえ未成熟な子が存在していたとしても、ただその一事をもって離婚請求を排斥すべきではなく、

 

それ以外の事情も総合的に考慮して判断すべきとされ、約14年の別居期間等を理由に、有責配偶者からの離婚請求を認めました。

 

なお、相手方(主に妻)の精神的、社会的過酷状態が存在しないことという条件についての判例は少ないですが、下級審判決では15年以上の別居があったケースでも、

 

離婚請求を認めると、妻を精神的、社会的経済的に極めて過酷な状況に置くことになるとして、有責配偶者からの離婚請求を認めなかったものがあります。

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