訴訟による過払い金の回収

Q1 簡易裁判所と地方裁判所のどちらに提起すればいいのですか

A 簡易裁判所か地方裁判所のどちらに提起するべきかは訴額がいくらかによって決まります。といいますのも、民事訴訟法では訴額が140万円以下の場合には簡易裁判所、140万円を越える場合には地方裁判所と決められているからです(これを事物管轄といいます)。

なお、訴額とは貸金業者に対して請求する額のことであり、これには請求する元本に付した利息や遅延損害金は含まれません。

Q2 訴訟は自分の住んでいる近くの裁判所に提起すればいいのですか

A 過払い金の返還債務は持参債務(原告である債務者の住所地で支払うべき債務)ですから、過払い金返還請求訴訟は原告である債務者の住所地を管轄する裁判所に提起することができます。

ただし、貸金業者が交付する契約書には通常、訴訟になった際の管轄の合意として『貸金業者の本店所在地を管轄する裁判所とすることに合意します』等とあらかじめ書かれています。

現在ではこのような約款による管轄の合意は無効であると考えられています。仮に有効だとしても専属的合意管轄(その裁判所のみを管轄裁判所とする合意)ではなく、競合的管轄合意であると考えるべきですので原告の住所地を管轄する裁判所に訴訟を提起することができます。

Q3 弁護士費用や慰謝料の請求を上乗せすることはできますか

A 過払い金返還請求訴訟を提起する際に弁護士費用や取引履歴の不開示に基づく損害賠償請求をすること自体は自由です。ただし、認められるかどうかはケースバイケースといえるでしょう。

また、貸金業者の取引履歴の不開示が違法行為であると評価されるためには少なくても文書で3回、口頭で3回以上は請求する必要があると思われます。

このような債務者からの再三の請求にもかかわらず長期にわたって開示を拒んだような場合には取引履歴の不開示による損害賠償請求が認められる可能性が高くなります。

なお、弁護士費用の目安は10万円程度、慰謝料の目安は10~30万円程度です。

Q4 契約書や領収書がない場合でも訴訟を提起することはできますか

A 契約書は領収書等がなくても訴訟を提起することか十分可能です。貸金業者から取引履歴が開示されず推定計算に基づいて訴訟を提起したような場合は、訴訟の中で貸金業者に取引履歴を開示させて請求金額を確定すればいいでしょう。

なお、契約書等の書類がすべて残っていたり、通帳に借入れと返済の記録が残っているような場合は貸金業者から取引履歴の開示がなくてもそれらの書類に基づいて取引履歴を再現することになります。

Q5 貸金業者が合併をしている場合はどうすればいいですか

A 貸金業者の中には合併を繰り返している会社も少なくありません。

会社が合併した場合、債権と債務のすべてが合併後の新会社に包括的に承継されるので合併前の会社が負っていた過払い金返還債務も新会社が承継することになります。よって、合併後の貸金業者に対して過払い金の返還請求ができます。

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