有限責任事情組合の運営

LLPでは、株式会社のように取締役会などを設置する必要がなく、所有と経営が完全に一致しています。

 

そのため、LLPとして意思決定する場合には、原則的に全組合員の一致で判断します。

 

もし、組合契約書に全員一致以外の方法で意思決定をおこなうと定めておけば、それに従いますが、

 

1. 重要な財産の処分及び譲受け

 

2. 多額の借財

 

については、総組合員の同意もしくは組合員の3分の2以上の同意が必要です。

 

これは、LLPが全組合員がそれぞれの個性や能力を活かしつつ、共通の目的に向かって主体的に組合事業に参画するというニーズに基づいて導入された制度だからです。

 

こうした組合員への業務執行への義務付けや重要な意思決定への総組合員の同意は、LLPがパススルー課税であることを利用して、損失の取り込みだけを狙った租税回避等の悪用を防ぐ効果も狙っています。

 

つまり、LLPでは株式会社のように「出資だけして経営には口を出さない」というスタンスは認められないことになります。

 

このように、LLPの組合員は、全員が業務執行権を有し、義務を負うため、各組合員が何らかの形で業務執行をおこなう必要がありますが、業務を分担することは認められています。

 

たとえば、通常の株式会社のように、マーケティング担当、財務担当、営業担当等に分けて、実際の業務を分担することはできますが、業務の全部を他の組合員に任せるのは禁止されます。

 

ところで、LLPは合同会社や株式会社のように法人格を有していません。

 

そのため、不動産をLLP名義で登記することはできず、組合員全員の共有名義で登記したうえで共有物不分割の登記をする必要があります。

 

これにより、組合員共有の財産について、各組合員が自分の持ち分に応じて、財産を分割するように請求することはできません。

 

LLPが、組合員の肩書付名義で取引先等と契約を締結すると、この契約の効果は当該組合員のみならず、全組合員に及びます。

 

つまり、A~Cの3人の組合員からなるLLPで、組合員の一人であるAが、B株式会社と契約を締結した場合には、その効力は他の組合員であるBとCにも及ぶことになります。

 

また、資金調達をするために新たに組合員が加入したような場合、その都度、新たに組合契約書や登記を変更しなければいけません。

 

その点からは、LLPは資金調達には向いていないといえます。

 

もし、多額の資金が必要となった場合は、株式会社のような組織の方が向いているのですが、LLPから株式会社へ組織変更をすることはできません。

 

この辺は、もともと法人格がある合同会社が株式会社へ組織変更できる点と異なるところです。

 

よって、どうしても株式会社へ変更したいのであれば、LLPを解散したうえで株式会社を新たに設立するか、

 

あらかじめ受け皿となる株式会社を設立しておいて、LLPの事業を株式会社に譲渡するという方法を取る必要があります。

 

なお、LLPは法人格を有しませんので、合同会社や株式会社のような社会保険への加入義務はありません。

 

ただし、従業員が5人以上になると個人事業と同様、加入が義務付けられます。

 

また、業務執行者の肩書付名義で金融機関の口座を開設することも可能で、融資条件を満たせば金融機関からLLPの事業について融資を受けることもできます。

 

会計及び財務面では、設立時に貸借対照表を作成し、事業年度ごとに貸借対照表や損益計算書及びその付属明細書の作成をしなければならず、これらの財務諸表は公告の必要性はありませんが、債権者の求めがあれば開示する必要があります。

 

 

 

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