取締役と代表取締役の変更登記

株式会社の取締役の任期は、原則的には選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでです。

ただし、定款もしくは株主総会の決議によって、その任期を短縮することが可能です。

これに対して、非公開会社では、定款に定めることにより、上記の選任後2年以内という箇所を10年以内に伸長することが可能です。

これは、同族会社では取締役が頻繁に変わることはないため、実情に合わせて取締役の改選の負担を減らすことを目的としています。

取締役が退任する原因としては、上記のような任期満了の他に、辞任、死亡、解任、欠格事由、解散があります。

では、実際に役員変更の登記はどのように申請すればよいのかをみていきたいと思います。

取締役会設置会社を例に考えてみると、役員変更の手続きの流れは以下のようになります。

1. 退任事由発生

2. 株主総会

3. 取締役会

4. 申請書類作成

5. 登記申請

申請の際の添付書類としては

1. 株主総会議事録

2. 就任を承諾したことを証する書面

3. 定款

4. 印鑑証明書

取締役の就任による変更登記の申請書には、就任を承諾したことを証する書面の添付が必要です。

具体的には、就任承諾書を添付するか、もしくは株主総会議事録の記載を援用する方法があります。

なお、取締役が就任を承諾したこと証する書面に押印した印鑑については実印を使用しなければいけないという決まりはないので、印鑑証明書の添付は不要です。

これに対し、代表取締役の就任による変更の場合は、再任にあたる場合を除き、印鑑証明書の添付が必要になりますので、当該代表取締役が就任承諾書もしくは取締役会議事録に押印する印鑑は実印である必要があります。

ここでいう再任とは、同一人物である代表取締役の退任の登記と就任の登記が、登記手続き上、同一の申請書によって申請されている場合を指し、ここでは退任事由は問われません。

よって、任期満了と同時に再選されて就任するような重任に限らず、取締役の任期が満了したのに選任手続きが執られないまま数年経過し、

その後、再び取締役に選任され、次いで代表取締役にも再選されたような場合も対象になります。

また、申請書に添付された株主総会議事録上から、議決権を行使できる株主の過半数を下回る株主の出席で開催されているような場合は、

当該会社の定款に定足数の緩和が規定されていることを証明するために定款を添付しなければいけない場合もあります。

こういった場合、定款の写しを作成し、その末尾に原本と相違ない旨を記載し、代表取締役が登記所に届け出ている印鑑を用いて記名押印したものを添付することになります。

登録免許税は、資本金が1億円以下の会社であれば、申請件数1件につき1万円です。

申請件数が基準になるので、同一の申請書で取締役の変更登記と監査役の変更登記を申請すれば1万円で済みますが、別々の申請書で申請すると申請件数が2件になるので、登録免許税も2万円になります。

よって、同一の時期に取締役、代表取締役、監査役等の変更があれば、登録免許税の節約のために通常は1件の申請書で申請するわけです。

次に、代表取締役の変更についてみていきます。

株式会社においては、原則として各取締役に代表権があります。

よって、代表取締役を定めるかどうかは、その株式会社の任意です。

しかし、取締役会設置会社では、必ず代表取締役を選任しなければいけないとされており、取締役の全員を代表取締役にすることも可能です。

代表取締役は、必ず取締役であることを要し、複数の代表取締役がいる場合、少なくとも1名は、日本に住所を有するものでなければいけないとされています。

このため、もし、代表取締役が2名のうち1名のみが国内に住所を有している場合、その代表取締役が辞任したとしても、新たに国内に住所を有する取締役を選任し、その者の就任登記と同時でなければ、当該代表取締役の辞任の登記を申請することはできません。

これに対し、国内に住所を有している代表取締役が死亡したり、解任された場合は、残りの代表取締役が日本に住所を有していなくても、その旨の登記申請は受理されます。

これは、解職された者に引き続き代表取締役の職務をおこなわせるのは妥当ではないからです。

次に、代表取締役の選任方法ですが、以下の3通りあります。

1. 定款

2. 株主総会

3. 取締役の互選

定款による選任の場合、定款変更には株主総会の特別決議を要する反面、株主総会による選任であれば普通決議で足ります。

取締役の互選による場合は、取締役の過半数の一致で選任することができます。

また、定款又は株主総会によって選任された代表取締役は、取締役として就任承諾をしている以上、改めて代表取締役としての就任承諾は不要です。

これは、取締役と代表取締役の地位が一体化しており、会社の一方的な意思表示により代表取締役と決定され、他の取締役は代表権を剥奪された取締役として選任されたものと解されるからです。

これに対して、取締役の互選によって選任された場合は、取締役と代表取締役の地位は分化していると考えられるので、改めて代表取締役としての就任承諾が必要になります。

なお、取締役会設置会社においては、原則的に取締役会で代表取締役を選任する必要があり、その場合、就任承諾も必要になります。

また、定款で定めれば株主総会の決議で代表取締役を選任することも可能とされています。

次に、辞任の場合ですが、上記のとおり、定款又は株主総会で選任された代表取締役は、取締役と代表取締役の地位が分化していないので、代表取締役の地位のみを辞任するには定款変更もしくは株主総会の決議が必要になります。

これに対して、取締役の互選または取締役会によって選任された場合は、取締役と代表取締役の地位が分化しているので、代表取締役のみを辞任することが可能です。

とはいえ、その辞任により代表取締役が1人もいなくなってしまったり、定款で定めた代表取締役の員数が欠けてしまうような場合は、新たに代表取締役が選任されるまで、なお代表取締役としての権利義務を有します。

取締役会を設置していない場合、取締役は各自代表が原則となるので、取締役の就任承諾の段階で実在人保証が要求され、印鑑証明書の添付が必要になります。

なお、議事録を就任承諾書に援用する場合には、議事録に当該取締役の実印を押印しなければいけません。

これに対して、取締役会設置会社であれば、必ず代表取締役を選任する必要があるので、取締役の就任承諾の段階では印鑑証明書の添付は不要で、代表取締役の就任承諾書のみ印鑑証明書の添付が必要になります。

ただし、取締役または代表取締役が再任の場合であれば、最初の就任登記の際に実在人であることが保証されているので、再度、印鑑証明書を添付する必要はありません。

以上のように、取締役または代表取締役の就任もしくは退任登記の場合、実印の押印が必要なのか、印鑑証明書や定款の添付が必要なのかは、ケースバイケースで異なり、一般の方にはよくわからないのが現状でございます。

よって、取締役等の変更登記については、お近くの司法書士に相談されるのが確実と思われます。

当事務所でも千葉県近郊に本店を置く会社であれば対応が可能ですので、自社でおこなうのが困難であるときはお気軽にご相談頂ければと思います。

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