株式の消却手続きと株式の併合

株式の消却とは、株式会社の存続中に、その会社の特定の株式を絶対的に消滅させることです。

 

あくまでも株式自体が消滅するので、株券が無効になる株券の失効とは異なります。

 

旧商法でも、株式の消却はありましたが、その方法は

 

1. 取締役会の決議によって、その保有する自己株式を消却する方法

 

2. 資本減少の規定によって、株主の有する株式を消却する方法

 

3. 定款の規定に従って株主に配当すべき利益をもって株主の有する株式を消却する方法

 

4. 定款の規定に従って株主に配当すべき利益をもって消却することが予定されている株式を消却する方法

 

の4つでした。

 

しかし、会社法では、消却は自己株式についてのみおこなわれるものとして、旧商法で認められていた、上記2~4の株式の消却制度は廃止されました。

 

手続きとしては、会社は、取締役(会)の決議によって、自己株式を消却することができます。

 

そして、自己株式を消却する際は、消却する自己株式の数(種類株式発行会社では、自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければなりません。

 

効力の発生時期は、その消却に係る株式の失効の手続きが終了した時です。

 

具体的には、株主名簿の修正及び消却する株式に係る株券を廃棄した時となります。

 

消却の効果は、自己株式及び発行済株式総数の減少です。

 

なお、資本金の額に変更はありませんが、消却された自己株式の帳簿価額に相当する分の自己株式の部に計上されていた控除額が減少し、その額に対応する剰余金の額も合わせて減少します。

 

また、自己株式を消却しても、定款を変更しない限り、発行可能株式総数は当然に減少しません。

 

自己株式の消却がおこなわれたときは、株主名簿の修正、株券発行会社であれば株券を廃棄するなど、株式失効の手続きをし、2週間以内に発行済株式総数の変更登記を申請する必要があります。

 

登記の事由は、「自己株式の消却」で、登記すべき事項は、「変更後の発行済株式の総数及びその年月日」となります。

 

添付書面は、取締役の過半数の一致を証する書面(取締役会議事録)で、登録免許税は3万円となります。

 

次に、株式の併合ですが、これは、発行済株式総数を減少させることです。

 

例えば、2株を1株にするというように、複数の株式を併せてそれよりも少数の株式にすることです。

 

なお、株式の併合をしても、資本金の額に影響はありませんが、発行済株式総数が減少します。

 

この株式の併合ですが、実際には市価の引き上げや合併比率の調整などに利用されることが多いです。

 

手続きとしては、株主総会の特別決議で、以下の3つの事項を決める必要があります。

 

1. 併合の割合

 

2. 株式の併合の効力発生日

 

3. 種類株式発行会社であれば、併合する株式の種類

 

なお、この株主総会において、取締役は株式の併合を必要とする理由を説明しなければいけません。

 

また、株式の併合により、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、種類株主総会の特別決議がなければ、その効力を生じないとされています。

 

株券発行会社においては、併合する株式の全部について株券を発行していない場合を除き、株式併合の効力が生じる日までに、会社に対して全部の株式にかかる株券を提出しなければならない旨を当該日の1ヶ月前までに公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければいけません。

 

これは、併合前の株券が併合の効力発生により無効になるので、そのような無効な株券が流通していると、第三者が損害を被る可能性があるからです。

 

株式の併合は、会社が定めた日に効力が発生し、株主は、その日に、その日の前日に有していた株式の数に併合の割合を乗じて得た数の株式の株主となります。

 

株券発行会社では、その株券は効力発生により無効となるので、遅滞なく新しい株券を発行しなければいけません。

 

なお、併合によって、1株に満たない端数が生じたときは、その端数の合計額に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じて、その競売によって得られた代金を株主に交付しなければいけません。

 

株式の併合に伴って、発行済株式の総数が減少しますので、2週間以内にその変更登記をする必要がありますが、資本金の額は変更しません。

 

また、発行可能株式総数も定款を変更しない限りは当然には変更しないので、株式の併合と同時に発行可能株式総数を減少させたいのであれば、合わせて定款変更手続きをしなければいけません。

 

登記の事由は、「株式の併合」で、登記すべき事項は、「変更後の発行済株式の総数及びその年月日」となります。

 

添付書面は、株主総会議事録、株券発行会社にあっては株券の提供公告をしたことを証する書面またはその株式の全部について株券を発行していないことを証する書面です。

 

なお、株券発行会社でない会社であれば、株券提出の公告は不要で、また、株券発行会社でない会社であることは登記簿上明らかなので、何ら書面の添付は要しません。

 

登録免許税は3万円です。

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