成年被後見人の選挙権

先日、「成年被後見人は選挙権及び被選挙権を有しない」という公職選挙法の規定が、憲法15条や44条で保証する選挙権に違反して無効、という判決が出ました。

 

 

これは成年後見制度の選挙権に関する初めての司法判断であり、政府も成年被後見人に選挙権を付与する公職選挙法改正を目指すという点で極めて妥当な判決だと思います。

 

 

現在の法律では、後見に該当すると一律選挙権を失いますが、財産能力がないからといって、一律に選挙をする能力がないとは言い切れません。

 

 

いわゆる植物状態となった場合、後見人をつけるケースは少なくありませんが、選挙権を剥奪するとしても、現実的に選挙権の行使が不可能な場合等に限定的にすべきです。

 

 

国が控訴するかどうかは分かりませんが、今回の地裁判決を覆すのは難しいでしょう。

 

 

そもそも、一律に選挙権を奪うことには、当初から憲法違反の疑いがあったわけですが、今回の判決に至るまで世論がこの問題を認識していたとはいえません。

 

 

そういった意味では、我々国民一人一人にも責任がないとはいえませんが、それでも政治家がこの問題に関して無頓着過ぎたのではないかと思われます。

 

 

なお、これまでに選挙権が制限されていたのは、3類型の中でも後見のみです。

 

 

つまり、保佐と補助であれば、以前から選挙権の制限はありません。

 

 

いずれにせよ、被後見人に対する一律の選挙権の剥奪は、制定当初から批判があったので、一日も早い公職選挙法の改正が待たれます。

 

 

また、成年被後見人には、選挙権以外にも合理的説明が付かない制限がいまだ多く残っているので、これを契機にその辺の制限が見直されることを望みます。

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