親権者の変更と妨害排除請求

未成年の子がいる夫婦が離婚をするときは、必ず未成年の子ごとに、夫婦のどちらか一方を親権者に決める必要があります。

 

ただ、一度決めたからといって、絶対にそのあとに親権者を変更できないわけではありません。

 

民法では、その後の事情変更等により、子供の福祉のために不都合な事情が生じた場合には、

 

親権者をもう一方の親に変更したり、親権喪失の宣言をすることができると規定しています。

 

親権は、あくまでも未成年の子の利益・福祉のために存在するので、親権者を変更したり、親権喪失宣告を得たりする場合も、

 

あくまでも子のために必要であると認められる場合でなければなりません。

 

この親権の変更では、子の利益のために必要と認められた場合に、子の親族からの請求によって、

 

家庭裁判所で調停または審判により親権者をもう一方の親に変更することになります。

 

では、具体的にどのような場合であれば変更が認められるかどうかですが、以下に一例を挙げておきます。

 

1. 親権者の行方が分からなくなった場合

 

2. 親権者が養育していない(養育する意思がない)場合

 

3. 親権者が暴力をふるう場合

 

4. 養育環境の著しい悪化や親権濫用が認められる場合

 

この他にもいろいろなケースが考えられますが、考え方としてはもう一方の親を親権者にした方が、

 

子の利益・福祉のためになると積極的に認められるかどうかが判断基準となります。

 

よって、実際には家庭裁判所が諸般の事情を考慮して総合的に判断するしかありませんが、

 

もし、調停で話がつかないとなれば、最終的には審判で決めることになります。

 

なお、親権者が変更された場合、その確定日から10日以内に市区町村役場にその旨を届け出る必要があります。

 

次に、親権者となり、自分が引き取るはずだった子を、もう一方の親が強引に連れて行ってしまった場合です。

 

民法では、親権者には未成年の子を看護教育する権利があると同時に、安全かつ十分に養育保護する義務があります。

 

よって、もう一方の親によって親権の行使が妨害されたのであれば、親権者はその子のために妨害を排除する義務があります。

 

そのため、親権者には妨害排除請求権として、その未成年の子を引き渡すよう求める引渡請求権があります。

 

とはいっても、この引渡請求権も子の利益、福祉のために行使される必要があるので、

 

たとえ親権者であっても、子の福祉を無視した引き渡し請求をすることはできません。

 

そういった場合にポイントになるのは、その子自身の気持ちです。

 

もし、その子に意思能力があれば、その子の意思を尊重して、もう一方の親に連れて行かれたことが、

 

親権者が監護教育をすることに対する妨害行為になっているかどうかを判断する必要があります。

 

実際に、引渡し請求する方法としては、家庭裁判所にその子の引渡を求める調停を申し立てる必要があります。

 

調停が不成立であれば審判で引渡の可否を決めることになりますが、

 

もし、引渡が確定してもなお任意に引渡がされない場合、強制執行によって引き渡しを実現することになります。

 

その場合、一般的には

 

「いついつまでに子を引き渡せ。引き渡さない時は、引き渡すまで一日金〇円の金員を支払え」

 

といった内容になります。

 

基本的には、自力救済といって親権者がもう一方の親から自分で連れて帰ってくるということは許されていませんが、

 

子のためにどうしてもやむを得ない場合で、極力穏便な方法であれば許されてしかるべきと考えられています。

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