複数の遺言

複数の遺言書があり、内容が抵触する場合、遺言者の最終意思に近いほうである後の日付の遺言が優先するのが原則ですが、内容が抵触しなければ双方の遺言が有効です。

 

前に書いた遺言の撤回を、後の遺言ですることができますので、2つの遺言でその内容が抵触する部分については、後に書いた遺言が優先されるというわけです。

 

ただ、現実問題として、たとえ内容が抵触しないとしても、遺言書を複数用意するというのはおススメできません。

 

よって、新たに遺言を書き変えたいのであれば、後の遺言書で前の遺言書のすべて撤回するか、前の遺言書自体を破棄してしまうのが紛らわしくないと思います。

 

では、公正証書遺言と自筆証書遺言がそれぞれ発見された場合はどうなるでしょうか?

 

この場合、公正証書遺言の方が公証人が関与した立派な遺言書に思えるので、自筆証書遺言よりも優先するのではないかと思いがちです。

 

しかし、上記のとおり、遺言書は後の日付のものが優先するのが大原則なので、たとえ、公正証書遺言であっても、その後に自筆証書遺言が作成されていれば、そちらが優先になります。

 

とはいえ、その自筆証書遺言がきちんと遺言書としての要件を備えている必要がありますので、必ずしも後から作成した自筆証書遺言が優先するというわけではありませんのでご注意ください。

 

ところで、例えば、2通の遺言書があり、後の日付の遺言書が相続人の誰かによって偽造されていた場合はどうなるのでしょう?

 

この場合は、偽造された遺言は無効ですので、偽造されていない前の日付の遺言のみが有効となります。

 

なぜなら、遺言書を偽造した相続人は、被相続人の相続人にはなれないからです(相続欠格:民法第891条第5号)。

 

ただし、単に被相続人の意思を実現させるために、その法形式を整える趣旨で遺言書を偽造または変造したにすぎない場合(例えば、押印モレを補充)は、相続欠格とはならずに相続人になります。

 

つまり、遺言の偽造や変造、破棄隠匿が相続欠格に該当するためには、相続に関し不当な利益を目的とする偽造等がなされることが必要なのです。

 

なお、複数の遺言があることが発覚した場合、後の遺言書が有効と決めつけて、勝手に前の遺言書を処分するようなことがないよう注意しなければいけません。

 

また、公正証書遺言以外の自筆証書遺言等は、裁判所での検認しなければいけませんので、まずはお近くの司法書士等の専門家にご相談されるのがよいでしょう。

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