区分建物の共有部分
マンション等の集合住宅は区分建物で区分所有法で規定されています。
一棟の建物の一部が区分所有権の対象になるためには
1. 構造上の独立性を有していること
2. 利用上の独立性を有していること
が条件となります。
また、区分建物の属する一棟の建物は、区分所有権の対象になる専有部分とそれ以外の共用部分に分けられます。
そして、共用部分はさらに法定共用部分と規約共用部分に分かれ、規約共用部分は共有部分であることを登記することで第三者に対抗できます。
規約共用部分は、構造上、利用上の独立性があるので、本来は専有部分にすることができますが、区分所有者の規約によって共用部分とされたもので、具体的には集会所や管理人室などがあります。
規約共用部分の登記自体は可能ですが、所有関係については権利の登記はされません。
これは、共用部分の持分は専有部分の処分に従い、原則として共有者は専有部分と分離して共用部分の持分を処分できないとされているからです。
つまり、共用部分の持分についてだけ権利変動が生じることがないため、権利の登記をする必要性がないのです。
その結果、専有部分を取得した者は、専有部分の移転登記さえすれば、共用部分の持分については登記することなく第三者に対抗することができます。
また、規約共用部分を対象に抵当権等の担保権を設定することもできませんが、ある区分所有者がその専有部分に抵当権を設定すれば、その抵当権の効力は当然に共用部分の共有持分にも及びます。
これに対して、支柱、廊下、エレベーター室、電気・ガス・水道等の設備等といった法定共用部分は登記することができません。
これは、構造上、利用上の独立性がないためです。
最近の大規模マンションには、集会場や遊技場が備わっていることが多いですが、これを区分所有者の持分で登記することは大変なので、規約共用部分にして権利関係の登記はされていないのが通常です。
これに対して、昔の集合団地等では、集会所等を区分所有者がそれぞれの持分に応じて所有している登記がなされていることも少なくありません。
よって、昔の集合住宅の名義変更の登記をする場合は、集会所などが区分所有者名義で共有登記されているのか、規約共用部分になっているかがポイントとなります。
この記事の監修者

- 司法書士・行政書士
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千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号
経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。
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