過払い金とおまとめローン
某銀行のCMの影響で、一般の方が「おまとめローン」というものを耳にする機会が増えてきました。なお、おまとめローンというのは、複数の会社からの借入れを一本化することをいいます。
たとえば、A社50万円、B社100万円、C社50万円の3社から合計200万円を3社から借り入れしていたとします。金利はA社が出資法ギリギリの29.2%、B社は25%、C社が18%とします。
また返済日も、A社が毎月5日、B社が10日、C社が末日とバラバラです。
こういった場合、借主とすれば新たにD銀行から年15%の金利で200万円を借りられれば、そのお金でA~C社を一括返済することができます。
一括返済後は返済窓口がD社一つになり、おまけに金利も下げることができたので、借主とすれば、おまとめローンを借りるメリットは非常に大きいといえます。
しかし、おまとめローンで気を付けなければいけないのは、一括返済後に過払い金返還請求することです。
今回の場合でいえば、A社とB社の金利は利息制限法の上限利率を超えているので、完済をすると、それまでの超過利息の返還請求をすることができます。
なお、C社については、取引当初から金利が18%以下であれば法定内利率なので、不当利得返還請求の対象とはなりません。
この辺の説明を、おまとめローンの勧誘をしている銀行がどの程度説明をしているかは定かではありません。
最近では、払い過ぎた利息は返還請求できる可能性があるということが世間にも認知されてきたため、銀行の方でも説明をしているのではないかと思われます。
ただ、数年前のおまとめローンであれば、超過利息の説明をしないまま、単に融資をしているケースも多かったのではないかと思われます。
そもそも、高金利で5年を超える長期の取引があるようなケースであれば、おまとめローンを申し込むまでもなく、不当利得返還請求をすることで借金を帳消しにできる可能性があります。
ただ、平成22年4月までは、取引の途中で不当利得返還請求をした場合でも、信用情報上では「契約見直し」等の不利益な記載がされる恐れがありました。
その意味では、おまとめローンでいったん完済をした後に、払い過ぎた利息の返還請求を選択する理由はありました。
しかし、現在では、返済途中の不当利得返還請求であれば、信用情報が不利益な扱いを受けることはなくなりました。
よって、おまとめローンを利用するかどうかは、現在の借入先から取引履歴を取り寄せて、超過利息が発生していないかどうかを確認してから判断された方がよいでしょう。
この記事の監修者

- 司法書士・行政書士
-
千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号
経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。
最新の投稿
- 2025年9月22日その他消費者志向自主宣言
- 2025年8月22日時効ジャックスのブラックリストをCICから削除したケースの解決事例
- 2025年6月10日時効りそなカードからSP ASSET POWERに譲渡されて弁護士から通知がきたケースの解決事例
- 2025年6月9日時効05018084005の楽天カードの滞納で債権回収会社からハガキが届いたケースの解決事例