過払い金と債権譲渡

最近は

 

「債権譲渡」

 

が問題になる場合が増えています。

 

たとえば、A社がB社に債権譲渡したとします。

 

譲渡した時点で、まだ負債が残っていれば、特に問題はありません。

 

その場合は、そのままB社に対して請求することになります。

 

問題になるのは、譲渡時点ですでに過払い状態だった場合です。

 

この場合、譲渡時点の払い過ぎた利息の返還義務はA社にあるのか、B社にあるのかが問題です。

 

特に、A社がすでに破綻していたり、破綻はしていなくても事実上、回収できないような経営状態だと困ってしまいます。

 

譲渡時点の不当利得金を含めて、B社に請求できればいいのですが、必ずしもそうはいきません。

 

この点、最高裁の判断は

 

「債権譲渡だけでは当然に不当利得返還義務は承継されない」

 

「債権譲渡基本契約の条項に、不当利得返還債務を引き継ぐ条項がなければ、債権譲渡という事実だけで不当利得返還債務が当然に譲受人に承継されることはない」

 

といったものです。

 

つまり、債権譲渡という事実だけでは、過払い金は当然に承継されない、というわけです。

 

よって、債権譲渡事案では、個別的に不当利得返還債務も含めて譲渡したことを立証できないと、譲受人に返還請求をすることは困難といえます。

 

一般的な感覚すれば、おかしな話ですが、最高裁の判断が出てしまっている以上、やむを得ないところです。

 

 

 

この記事の監修者

いなげ司法書士事務所 豊島裕也
いなげ司法書士事務所 豊島裕也司法書士・行政書士
千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号

経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。

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