みなし弁済の主張

平成18年1月13日最高裁判決により、事実上、みなし弁済は認められなくなりました。

平成18年判決が、みなし弁済を否定した根拠は

「支払いの任意性」

です。

みなし弁済が認められるためには、利息制限法を超える金利の部分を、借主が「任意に」支払ったといえる必要があります。

しかし、当時の契約書には

「期限の利益喪失条項」

というものがありました。

これは、借主が元本及び約定利息の支払いを怠った場合には、借主は分割払いができなくなり、残った借金と損害金を一括で支払わなければならない、という条項です。

この条項があると、借主は法定利率を超える利息の支払いをしなければ、一括返済の恐れがあると誤解してしまいます。

そのため、平成18年判決では、こういった期限の利益喪失条項がある場合は、超過利息の支払いについて任意性はないと判断し、みなし弁済を事実上認めないことにしました。

平成18年判決後は、貸金業者のほとんどがみなし弁済の主張をしてこなくなりました。

しかし、ごく一部の業者ではありますが、平成18年判決後もみなし弁済の主張をしてくるところがあります。

そういった業者の主張の根拠は、期限の利益喪失条項の文言を

「利息制限法所定の制限利息の支払いを遅滞したとき」

等と変更したから、といったものが多いです。

しかし、上記のように期限の利益喪失条項の文言を変更しても、借主からすればいったい自分がいくら支払えれば一括返済をされないのかを具体的に認識することはできません。

仮に、法定利息を超える約定利息に基づく返済表を交付していても、借主からすれば約定利息を支払わなければ一括請求をされると思ってしまうのが通常なので、こういった場合でもやはり、任意に支払ったとはいえません。

よって、任意には支払ったといえるには、借主に約定利息に基づく返済表と法定利率に基づく返済表の両方を交付したうえで、法定利率に基づく返済をしていれば一括返済をされる恐れはないと十分に説明をしておく必要があると思われます。

ただし、法定利率を支払えばよいと認識した借主が、あえて法定利率よりも高い約定利率を支払うことはないでしょうから、その意味でもみなし弁済が認められる可能性は皆無といっていいと思います。

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