同時に死亡した場合

数人の者が同時に死亡し、その死亡時刻の先後が不明な場合、同時に死亡したものと推定されます(民法第32条の2)。

 

これを同時死亡の推定といいます。

 

交通事故や飛行機事故に遭って親子とも即死のケース等が該当します。

 

事故当時の事実関係がはっきりしていれば問題ないのですが、この点が不明の場合にはこれらの者が同時に死亡したものと推定されるわけです。

 

同時死亡の推定の効果は、お互いがお互いを相続しないことです。

 

これは、死者は相続人になれないからという理屈です。

 

例えば、父、母、子、子の配偶者、子の子(父母の孫)の計5人がいた場合、父と子が同時死亡すると、父の相続人は母と子の代襲相続人として子の子、

 

子の相続人は子の配偶者と子の子です。

 

父と子の間だけは、互いを相続しません。

 

なお、遺贈にも同時死亡の推定が適用されます。

 

遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは効力を生じない(民法第994条第1項)。

 

同条の2つの死亡には同時死亡が推定されるケースも含みます。

 

ところで、同時死亡の推定は、あくまでも推定なので、同時死亡でなかったことの証拠があれば同時死亡の推定を覆すことが可能です。

 

この点は、同時死亡と「みなす」とされているわけではなく、あくまでも推定なので同時死亡を覆すハードルはみなすよりも低いことになります。

 

とはいえ、当職も10年以上実務をしていますが、同時死亡の推定事案を取り扱ったことはありませんので、現実的にはほとんど出会うことのない事例だとは思います。

この記事の監修者

いなげ司法書士事務所 豊島裕也
いなげ司法書士事務所 豊島裕也司法書士・行政書士
千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号

経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。

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