賃貸借契約の入居制限特約

近年は、賃貸物件も色々な種類のものがあり、代表的なものに

 

1. 単身者専用

 

2. 独身女性のみ

 

3. 第三者の同居不可

 

といったものがあり、これに違反したら家屋を明け渡さなければいけない旨の特約があらかじめ契約書に盛り込まれている場合があります。

 

そこで、こういった特約が有効といえるのかどうかをみていきます。

 

まず、単身者専用の場合です。

 

こういった場合によくあるケースとして、結婚したら明け渡す旨の特約があったり、子供ができたら明け渡す特約があることが多いです。

 

大家からすれば、結婚をして子供ができたりすると、物件が独身時代よりも傷つきやすくなったり、子供が騒いだりして他の入居者の迷惑になることを危惧しています。

 

しかし、入居者が結婚して子供をつくるというのはごく自然なことで、これを制限するような特約は民法上の公序良俗違反となり無効になる可能性が高いと思われます。

 

また、借地借家法では、大家が解約を申し入れるには正当事由を要求しており、これは強行法規とされているため、これに反する特約で入居者に不利なものは無効とされています。

 

よって、入居者に独身でいることを入居の条件としているような特約は民法上の観点からも借地借家法の観点からも無効と考えられます。

 

次に、独身女性に限定している特約です。

 

このような物件では、その他の入居者も女性限定にメリットを感じて入居をしているのが通常です。

 

つまり、独身女性限定との特約は、居住者全体の利益を考えても合理性があるといえますので、このような特約自体は有効と考えられます。

 

しかし、特約が有効だからといって、たとえば一度、彼氏を連れてきたくらいであれば、いまだ大家との信頼関係が破壊されているとはいえませんので、それだけでは大家からの解除は認められない可能性があります。

 

あとは、男性の連れ込みの頻度や本人の反省具合を総合的に考慮して、特約を原因とする解除が認められるかどうかが決まると思われます。

 

最後は、第三者との同居です。

 

これは、恋人との同棲が典型的かと思われますが、そもそも大家としては入居者以外の第三者が加わると、当初予期していたよりも物件が痛んだりすることが心配

になります。

 

つまり、同居人が増えれば、借りた物件の利用方法にも相当の変化が生じるのは容易に想像できるので、そのような変化を未然に防ぐという観点から、このような特約自体は有効といえます。

 

しかし、第三者と同居を始めたから直ちに解除できるというわけではなく、大家の許可なく第三者と同居を始めたとしても、いまだ借家人が物件の使用、保管方法について全般的な管理、支配を有しているのであれば、

 

大家との信頼関係を破壊する程度に不利な用法の変更にはあたらないとされるケースも考えられ、そのような場合であれば大家からの解除は認められない可能性があります。

 

よって、この場合も同居をさせた第三者がどの程度物件の使用、保管等に影響を及ぼしているのかを総合的に判断して解約権が認めらるかどうかが決めるものと思われます。

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