家賃の増額(減額)請求があった場合の対処法
長い間アパートを借りていると、大家から賃料の増額を要求される場合がありますが、大家からの増額請求を受け入れないといけないのかどうか。
この点については、借地借家法ではあらかじめ3つの条件を定めています。
1. 租税などの負担が増えたのかどうか
2. その土地や建物の価格の上昇やその他の経済事情の変化
3. 近所の同じような物件の家賃と比べて不相当に低いかどうか
以上の3点を総合的に考慮して決めることになるので、一律に判断することはできず、ケースバイケースでの判断となります。
もし、大家から家賃の増額要求があった場合、まずは話し合いとなりますが、話し合いで解決しない場合は、裁判所に調停を申し立てることになります。
大家との話し合いがまとまらないからといって、いきなり裁判をすることできず、まずは調停を起こさなけれいけません。
これは、民事調停法で定められており、調停前置主義といわれています。
そして、調停もまとまらない場合に初めて裁判となります。
なお、話し合いの途中や、調停や裁判中だからといって、家賃を支払わなくてもいいというわけではなく、家賃が決まるまでの間は借主が相当だと思う金額を支払う必要があります。
もし、大家が受け取らない場合は、大家の所在地を管轄する法務局に供託する方法で支払いをする必要があります。
例えば、大家が千葉市に住んでいれば、千葉地方法務局となります。
もし、裁判で大家の増額請求が認められた場合、借主は不足額に年10%の利息を付けて支払いをしなければいけません。
上記の増額請求に関する条件は、借主から大家に対する家賃の減額請求の場合も全く同じです。
つまり、家賃の増額を要求する場合も、減額を要求する場合も
「当事者間の話し合い」 ⇒ 「調停」 ⇒ 「裁判」
という手順を踏んで解決を図るということになります。
毎月数万円の家賃であれば、裁判をしてまで増減額請求をすることはあまり現実的ではありません。
よって、実際に裁判まで行くようなケースというのは、毎月の賃料が数十万以上の都市部や、商業利用の賃貸借などがほとんどです。
この記事の監修者

- 司法書士・行政書士
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千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号
経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。
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