任意後見と法定後見の競合

すでに、任意後見人がいる場合であっても、以下の場合のように、本人の利益のために特に必要があると認められれば、法定後見に移行することができます。

 

1. 任意後見人に与えられた代理権の範囲が狭すぎる場合

 

2. 本人について同意権、取消権による保護を必要とする場合

 

3. 任意後見人の報酬額があまりにも高額である場合

 

上記のような事情があれば、任意後見人や任意後見監督人から法定後見の申し立てが可能です。

 

なお、任意後見監督人が選任される前に法定後見の審判があった場合、その任意後見契約は存続します。

 

例えば、任意後見契約を締結していた本人の判断能力が低下したため、任意後見監督人を選任する前に、四親等内の親族が法定後見を申し立てても、

 

その後、本人が家族と同居する等して法定後見までは必要なくなった場合に、その後、任意後見監督人の選任の申し立てがあったような場合です。

 

これに対して、任意後見監督人が選任された後に法定後見の審判があった場合は、任意後見人と成年後見人の権限が矛盾、抵触するので、任意後見契約は当然に終了します。

 

また、すでに任意後見人が就任している場合に、本人の親族が任意後見人に不審を抱き、法定後見を申し立てることがあります。

 

このような場合、本人の親族としては

 

1. 任意後見契約締結当時の本人の意思能力に疑問

 

2. 任意後見人の使い込みを懸念

 

を抱いている場合があります。

 

契約締結時の本人の意思能力については、当時の公証人役場に診断書、医師の立会記録、本人の陳述録取書等があれば、それを開示してもらうことである程度、当時の判断能力の有無が判明します。

 

また、任意後見監督人が選任される前の本人の預貯金通帳のお金の動きやその他財産の動きをみることで、任意後見人が本人の財産を使い込んだのかどうかが明らかになる場合もあります。

 

裁判所としても、任意後見人がすでについている場合は、その本人の意思をなるべく尊重する必要がありますが、任意後見人が付いていても法定後見のように本人の小売能力は制限されませんので、

 

判断能力の低下した本人が自ら法律行為をおこなうことで損害を受ける可能性が高いのであれば、裁判所としても法定後見を開始する方向で考え、その結果として任意後見を取り下げることになることもあります。

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