後見制度支援信託の概要

成年後見制度は、平成12年に運用が開始しましたが、その後、10年以上が経過し、問題点も色々と出てきました。

その中の一つが、後見人による横領です。

本来であれば、後見人は本人の財産を管理するのが最大の仕事ですが、近年の不況のあおりを受けて、後見人自身も生活が苦しかったりすることが珍しくありません。

そうなると、ついつい人間の弱い部分が出てしまい、いけないことだとは分かりつつも、つい魔がさして本人の財産を使い込んでしまうといった事例が散見されるようになってきました。

このように本人の財産を使い込んでしまう後見人は、本人の親族が後見人になっているケースが圧倒的に多いのですが、中には弁護士等の専門職である後見人が横領をしてしまって逮捕されるというニュースも目にするようになりました。

そこで、最高裁判所や各専門職団体が協議を重ねて、平成24年から後見制度支援信託という制度が開始されました。

これはどういった制度かというと、本人の財産を信託銀行が管理することで、後見人に横領する余地を与えないというものです。

具体的には、1000万円以上の資産を持っている場合に、まず司法書士等の専門職が後見人に就任し、家庭裁判所に対して、後見制度支援信託を利用した方がよいのかどうかの報告書を提出します。

家庭裁判所は、報告書を検討した上で、後見制度支援信託を利用した方がよいと判断すれば、専門職後見人に信託銀行と契約するように指示を出します。

その指示に従い、専門職後見人が家庭裁判所から発行された指示書を、信託銀行に提示した上で、信託契約を締結します。

その後、専門職後見人がこれ以上後見人として関与する必要がなくなれば、後見人を辞任し、親族後見人に管理していた財産を引き継ぎます。

すでに、本人の財産は信託銀行が管理しているので、親族後見人が本人の金銭を横領する心配はなくなるわけです。

しかし、後見制度支援信託で利用できるのは、本人の金銭に限られており、金銭以外の不動産や有価証券は信託の対象とはなりません。

また、信託した金銭については元本が保証されますが、万が一、信託銀行が破たんした場合には、預金保険法に基づき、1000万円しか保証されません。

親族後見人は、日常生活で必要な年金の受け取りや施設入所等のサービス利用料の支払いといった日常的に必要な金銭だけを管理します。

もし、本人の支出が毎月の年金収入等よりも多いことが見込まれる場合は、信託契約を締結する際に、事前に定期金として交付してもらえるような手続をすることも可能です。

また、臨時にまとまったお金が必要となって、後見人が管理するお金では足りないような場合は、後見人は家庭裁判所から指示書を発行してもらい、信託銀行に支払いを請求することができます。

なお、信託銀行からは定期的に信託状況の報告があり、この報告書は後見人が裁判所に後見事務の状況を報告する際に利用することができます。

このように、後見制度支援信託制度を利用することで、本人の財産が横領される危険はなくなりますが、問題点も指摘されています。

その一つは、信託銀行が都市部に集中しているため、地方には店舗がないという点です。

また、本人の財産の大部分を信託銀行に預けてしまうことで、本来であれば必要であるはずの福祉サービスの提供がされなくなる、いわゆるネグレクト状態を引き起こすのではないかという懸念もあります。

後見制度支援信託制度を利用すると、原則的に司法書士等の専門職後見人から親族後見人へとバトンタッチするわけですが、そういったネグレクト状態を引き起こすことがないように、

司法書士等から親族に対して、成年後見制度の正しい知識を伝達し、本人が適切な福祉サービスを受けることができるとともに、親族による適切な後見事務がなされるようにしなければいけない点が課題とされています。

もし、本人が千葉に在住の方であれば、当事務所が後見人候補者となって、家庭裁判所に申立てをしたうえで、後見制度支援信託の利用を開始するということも可能ですので、お気軽にご相談ください。

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