離婚時年金分割

中高齢者の離婚が増加したため、平成19年から離婚時年金分割制度が設けられました。

 

この制度が成立した理由として、厚生年金、共済年金の報酬比例部分については、被保険者本人(ほとんどが夫)にのみ支給され、離婚した配偶者である妻には何の権利もなかったからです。

 

そのため、いわゆる熟年離婚をした際に、妻が金銭的に困窮することがないように、離婚時に年金分割が実施できる制度が創設された次第です。

 

この制度を利用するためには、まずは夫婦双方の合意が必要で、もし、合意が成立しない場合は当事者からの申し立てにより家庭裁判所が決定することになります。

 

その際は、家庭裁判所が婚姻期間の保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して按分割合を決定しますが、案分割合は2分の1以下でならないとされています。

 

実際のところ、特別の事情のない限り、互いに同等(つまり2分の1)になることがほとんどです。

 

では、どういった場合に特別の事情があるといえるのかですが、これまでの裁判例では

 

1. 同居期間が短い、婚姻期間中の借金、浪費、蓄財の事情は特別の事情とはいえない

 

2. 相手方による財産の浪費、隠匿は財産分与で解決すべきであるから特別の事情とはいえない

 

3. 婚姻期間30年、別居期間13年でも別居期間中も相手方の収入によって当事者双方の老後等のための所得保障が同等に形成されるべきであるので特別の事情とはいえない

 

としたものがあります。

 

これらの裁判例から読み取れることは、家庭裁判所は年金分割制度を老後の生活保障および社会保障的機能と考え、財産分与とは異なるものと考えているということです。

 

よって、年金分割の案分割合は0・5が大原則であり、もし、これで一方が不利になるのであれば別途、財産分与で調整すればよいとの考えが根底にあるものと思われます。

 

なお、立法当初は当事務所の合意は公正証書によるとされていましたが、合意した書面を年金事務所に提出すれば、わざわざ公正証書を作成する必要はなくなりました。

 

また、当事者間の合意や家庭裁判所で案分割合が決定しても、離婚後2年以内に年金事務所もしくは共済組合連合会に対して改定請求をしないと、その後は開廷請求をすることができなくなります。

 

離婚時年金分割の請求は、離婚調停に付随して請求することが可能です。

 

すでに、離婚が成立している場合でも、離婚成立後2年以内であれば請求することができます。

 

ところで、年金分割の申し立てを家庭裁判所にする場合、以前は相手方の住所地を管轄する家裁に申し立てる必要がありましたが、改正により自分の住所地の家裁でよいことになりました。

 

また、離婚に際し、当事者が年金分割をしないとう合意をする場合もあるかと思いますが、このような合意は公序良俗に反する等の特段の事情がない限りは有効とされています。

 

よって、詐欺や脅迫により、年金分割をしないとした合意などは当然に無効となります。

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