離婚と面会交流

面会交流は、民法の改正により平成24年から明文化されました。

 

具体的には、離婚によって親権者もしくは監護者にならなかった親が、その子と直接会ったり、直接会わなくても間接的な方法で交流することです。

 

ここでいう間接的な方法というのは、例えば電話や手紙、メール、プレゼントの送付等のことです。

 

面会交流については協議離婚の際に夫婦が決めるのが原則ですが、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所が決定することになります。

 

なお、民法によってきちんと決められたのは昨年ですが、実務上は昭和30年代の終わり頃から、

 

子の福祉の観点から家庭裁判所が面会交流の具体的方法等を定めてきました。

 

では、実際にどのような場面で面会交流が要求されているのかですが、これについては様々なケースがあります。

 

当事者間で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に申し立てをすることになりますが、別居中の夫婦から単独で申し立てがある場合もありますし、

 

離婚調停事件や離婚訴訟と並行して申し立てられる場合や離婚後に改めて申し立てられる場合があり、その多くは別居中の父親から同居中の母親に対して、

 

面会交流を求めるケースがほとんどですが、中には同居中の母親から面会交流の禁止や制限を求める事件もあります。

 

また、すでに面会をおこなっている最中に申し立てられるものもあれば、一切面会できていないことを理由に申し立てがある場合もあります。

 

なお、離婚と同じく調停前置主義が採用されているので、まずは調停手続きに付されて、

 

それでも合意がまとまらなければ審判に移行し、最終的には裁判所が判断を下すことになります。

 

具体的には、家庭裁判所の調査官が、実際にどのような面会交流が可能なのかどうかを調査し、

 

場合によっては手続き中に試験的に面会交流をおこなってみることもあります。

 

面会交流が民法で明文化されたことから、子の福祉が害されるようなことがない限りは、面会交流を基本的に認めるべしというのが家庭裁判所のスタンスです。

 

逆に、この福祉を害する恐れがあると判断される目安としては、子が連れ去られる可能性が高い場合や、子に暴力をふるうおそれがある場合等です。

 

また、子がおおむね10歳前後で、子自身が面会を拒絶している場合や、父親から母親の暴力(DV)がある場合も面会が制限されることがあります。

 

もう少し具体的な判断基準を示すと、面会交流の目的、非監護親の人格的偏りや反社会的行動の有無、

 

父親と母親の過去の紛争の経緯、子の年齢や心身の状況、監護親の事情等を総合的に考慮して決定しています。

 

裁判所で認められた面会交流が約束通り守られなかった場合は、どのように実現する方法があるのかですが、

 

面会交流の履行を確保する方法としては、履行勧告、間接強制、損賠賠償等があります。

 

まず、第一段階として家庭裁判所が調査官に義務がきちんと履行されているのかどうかを調査させて、

 

もし、履行されていない場合には監護親に対して履行を勧告させます。

 

次の段階として間接強制がありますが、これは監護親に心理的強制を加えて権利の実現を目指すもので、

 

最近では面会交流を1回拒絶する毎に5万円の支払いを命じたものもあります。

 

さらに、面会交流を拒絶された場合、その監護親に対して損害賠償の支払いを命じた判例もあります。

 

なお、一旦、面会交流の取り決めがなされると、その取り決めの効力は離婚成立後も存続するので、

 

離婚調停や離婚訴訟と並行して申し立てている場合には、その点に十分留意する必要があります。

 

いずれにせよ、面会交流は子の福祉の観点から、基本的に認められる運用がされているので、

 

監護親が一方的な理由で子と面会させないのであれば、速やかに家庭裁判所に申し立てをするのがよいと思います。

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