相続人不存在の制度

被相続人が亡くなったにもかかわらず、相続人が存在するのかどうかが分からない場合、相続人の捜索と相続財産の管理、清算をする必要があり、これらを定めた規定を相続人不存在の制度です。

 

この相続人不存在の制度がどういったものかをざっと見ていきたいと思います。

 

まず、相続人が不存在の場合、その相続財産は法人となり、相続財産を管理、清算するために相続財産管理人が選任されます。

 

具体的には、家庭裁判所が利害関係人もしくは検察官の請求により、相続財産管理人を選任し、その旨を公告します。

 

この公告をしてから2ヶ月間は、相続財産を保存しながら相続人が現れるのを待ちます。

 

期間内に相続人が現れなければ、管理人は相続債権者や受遺者に対して2ヶ月を下らない期間を定めて債権の申出をするよう公告します。

 

相続債権者等に対する債権申出公告期間を経過しても、なお、相続人の存在が明らかにならない場合、相続財産管理人もしくは検察官の請求によって、家庭裁判所は6ヶ月を下らない期間を定めて権利主張催告の公告をおこないます。

 

この権利主張催告の公告が最後の相続人捜索の手続きとなり、この期間内に相続人が現れなければ相続人の不存在が確定します。

 

相続人不存在の確定後3ヶ月以内は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別な縁故があった者に相続財産分与の申し立てが認められます。

 

特別縁故者への財産分与が確定すると分与された財産については特別縁故者の物となります。

 

これに対し、特別縁故者から相続財産分与の申し立てがなかったり、申立てはあったが却下が確定したり、特別縁故者への相続財産分与が一部にとどまり、残余財産がある場合は、相続財産は原則的に国庫に帰属することになります。

 

ただし、例外もあります。

 

それは、相続財産が共有持分の場合です。

 

民法255条の規定により、共有者の1人が死亡して特別縁故者を含む相続人がいない場合、その共有持分は他の共有者に帰属することになります。

 

では、共有持分の場合に特別縁故者との優劣はどうなるのかが気になります。

 

この点については、平成元年の最高裁判決で特別縁故者が優先されることになりました。

 

つまり、共有者の1人が死亡し、その者に相続人がなく、相続人不存在が確定した場合、当該共有持分は他の相続財産と共に特別縁故者への財産分与の対象となるわけです。

 

その結果、特別縁故者による財産分与がなされず、共有持分を承継する者がいないことが確定した場合に初めて、共有持分は他の共有者に帰属することになります。

 

ただし、共有の場合でも区分建物の場合は、民法255条の適用はありません。

 

なぜなら、区分建物では専有部分と敷地利用権が一体化しているので、もし、他の共有者への帰属を認めてしまうと、専有部分と共有持分の所有者が別々になってしまい、分離処分禁止の原則に反するからです。

 

具体的な登記手続をみていくと、まず、相続財産管理人の申請により、被相続人が亡くなった日を原因日付として、相続人不存在による相続財産法人名義への所有権登記名義人氏名変更登記を申請する必要があります。

 

その後、特別縁故者へ帰属することになった場合には、民法958条の3の審判を原因とする所有権移転登記を申請します。

 

また、他の共有者への帰属が確定した場合には、特別縁故者不存在確定を原因とする持分全部移転登記を申請します。

 

なお、この場合の登記原因の日付は、被相続人の死亡日13ヶ月の期間経過後である必要があります。

 

なぜなら、相続人不存在の手続きには少なくとも合計13ヶ月の期間を要するからで、これに反する登記申請は却下されますので注意を要します。

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